2010 Fiscal Year Annual Research Report
病理標本を利用した細菌感染症の今日的再考:細菌検査の死角を検証する
Project/Area Number |
20591210
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
塩竈 和也 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (10387699)
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Keywords | 細菌感染症 / 膿尿 / 免疫組織化学 / in situ hybridization |
Research Abstract |
前年度まで、諸種細菌コロニーを対象とした免疫染色およびin situ hybridization (ISH)法の至適検出条件を設定した。本年度は、膿尿セルブロック(ホルマリン固定パラフィン切片)を用いて、実際の臨床材料における諸種細菌の免疫組織化学的検出を試みた。研究成果は以下に要約される。 1. 膿尿セルブロック12例を対象とした。免疫染色では、大腸菌が8/12例(66.7%)、緑膿菌が3/12例(25%)、黄色ブドウ球菌が5/12例(41.7%)、MRSAが3/12例(25%)、腸球菌が6/12例(50%)、Clostridium difficileが6/12例(50%)に検出された。 2. 大腸菌を検出するために用いた抗大腸菌家兎血清は、幅広く腸内細菌に広く交差するため、菌種の特定はできなかった。黄色ブドウ球菌は、加熱処理によってプロテインAが賦活化されるため、内因性プロテインAのブロッキング操作を行う必要があった。 3. 臨床分離菌と免疫染色の結果は、10/12例(83.3%)で一致していた。一致しなかった2例は、切片上の細菌量や検出感度の問題が考えられた。 4. ISH法は、いずれのプローブにおいても検出できず、現段階では臨床応用が難しかった。とくに、黄色ブドウ球菌については三重処理(0.05%saponin/0.05%TritonX-100,0.1%lysostaphin,0.04%proteinase K)を施行するため、組織損傷が激しく判定困難だった。プローブ浸透性の問題が考えられ、DNAプローブからLNAプローブへの変更を検討する必要がある。 5. 尿路感染症で検出される細菌のほとんどは大腸菌である。本研究でも、大腸菌が多くの症例から検出され、予測に沿った結果を得ることに成功した。また、臨床分離菌との相関性から、諸種細菌を対象とした免疫染色の有用性が証明された。
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Research Products
(5 results)