2009 Fiscal Year Annual Research Report
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20591213
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田島 敏広 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 講師 (50333597)
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Keywords | 下垂体 / OTX2 / 複合型下垂体前葉ホルモン欠損 / 中枢性性腺機能低下症 / クロマチンリモデリン |
Research Abstract |
前年度、我々は眼球発生、中枢神経系の発生に重要な転写因子OTX2異常により下垂体-視床下部の形成障害、中枢神経系の発生異常がヒトでおこることを報告した。さらに我々はOTX2異常の1例を経験した。今回の変異はp.K74fsX103であり、OTX2のC末を完全に欠失するものであった。In vitroの解析では変異体は完全に機能を喪失していた。患者の表現型は小眼球症、視神経欠損、発達の遅れを示した。一方前回の症例では複合型下垂体前葉ホルモン欠損症(Combined pituitary hormone deficiency)を示したが、今回の症例では単独GH欠損であり、下垂体前葉の形成も正常であった。このようなことからOTX2異常では表現型に個人差があることが示された。今後さらなる検討が必要である。 今回さらに中枢性性腺機能低下症(Hypogonadotropic hypogonadism,HH)の成因についても解析した。HHはGonadotropin releasing hormone(GNRH)の分泌不全によって発症するが、その原因についてはGNRH分泌ニューロンの発生異常など様々である。HHを示す疾患のなかで、CARGE症候群は虹彩欠損、後鼻腔閉鎖、聴覚異常を伴い、視床下部障害を起こす疾患である。原因遺伝子はCHD7であるが、クロマチンリモデリング蛋白の1種である。今回典型的2例、さらにHHと虹彩欠損、聴覚障害のみの非典型の1例でCHD7遺伝子の変異を同定した。さらに現在HHのみの症例においてCHD7遺伝子の解析を進めている。 今後これらの検討により、CPHD,HHの成因が明らかになることが期待される。
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