2008 Fiscal Year Annual Research Report
MRI、PETによる小児熱性けいれん重積における側頭葉てんかん発症機序の解明
Project/Area Number |
20591222
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
夏目 淳 Nagoya University, 医学部附属病院, 講師 (60422771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根来 民子 岡崎女子短期大学, 人間福祉学科, 教授 (40172754)
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Keywords | MRI / 拡散強調画像 / PET / 脳波 / 熱性けいれん / けいれん重積症 / 側頭葉てんかん / 海馬 |
Research Abstract |
10歳前後に発症する側頭葉てんかんと乳幼児期の熱性けいれん重積症の関連に着目し、熱性けいれん重積後にMRI、PET、脳波を径時的に行い、乳幼児期のけいれん重積が側頭葉てんかん発症にどう関わるかを解明し、側頭葉てんかんを発症する患者を早期から鑑別する方法を確立することを目的として研究を進めている。 多施設共同研究で、熱性けいれん重積を発症して関連施設に入院した患者のMRI画像の評価を行った。その結果、熱性けいれん重積症23例中7例にMRI拡散強調画像で片側の海馬に異常高信号が認められた。同時期の脳波で徐波や棘波が異常のみられた海馬と同側にみられることが多く、海馬の異常はけいれん重積と関連した所見と考えられた。けいれん重積の持続時間との比較では、けいれん重積のうち必ずしも持続時間が長い症例に海馬の異常がみられるとは限らず、けいれん発作の持続時間の長さ以外の海馬の障害に関わる要因があると考えられた。また、発症後の経時的なMRIの評価では、発症時に高信号を呈していた海馬はその後1ヵ月以降には萎縮をきたしていた。PET検査は上記の拡散強調画像で海馬の異常がみられた患者のうち、現時点で4名に行われ、3名で解析が終了している。その結果、海馬の異常がみられた側のブドウ糖代謝量は半体側と比較して低下していた。しかし、側頭葉てんかん患者で見られるPETの異常と比較すると、ブドウ糖代謝量の低下は側頭葉全体には広がっておらず、今後経時的に機能異常が進行して、てんかん発症に結びつくのかを観察する必要があると考えられた。 今後さらに熱性けいれんの患者の登録、集積を行い、海馬の異常に関連する臨床的要因を明らかにする。また、MRIおよびPETの評価を経時的に続けて、脳の形態異常、機能異常とてんかん発症の関連を明らかにする予定である。
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