2009 Fiscal Year Annual Research Report
MRII、PETによる小児熱性けいれん重積における側頭葉てんかん発症機序の解明
Project/Area Number |
20591222
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
夏目 淳 Nagoya University, 医学系研究科, 准教授 (60422771)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根来 民子 岡崎女子短期大学, 短期大学部, 教授 (40172754)
|
Keywords | MRI / 拡散強調画像 / 画像解析 / 海馬 / 視床 / 形成異常 / 熱性けいれん重積 / 側頭葉てんかん |
Research Abstract |
熱性けいれん重積後にMRI、PET、脳波を経時的に行い、乳幼児期のけいれん重積がのちの側頭葉てんかん発症にどう関わるかを解明し、側頭葉てんかんを発症する患者を早期から鑑別する方法を確立するための研究を進めている。 多施設共同研究で熱性けいれん重積を発症した患児のMRI画像を評価した結果、24例中7例にMRI拡散強調画像で片側の海馬に異常高信号が認められた。そのうち2例では海馬の異常と同側の視床にも異常が認められ、1例では視床の内側、1例では後方に異常がみられた。発症時に拡散強調画像で海馬に異常が認められた7例中5例においてけいれん重積から1年が経過した時点で高解像度3D MRIを施行した。画像解析プログラムを用いて正常対照と比較してどこに萎縮がみられるかを評価した。その結果、患者群では発症時に異常高信号を示した海馬の萎縮の他に、同側の側頭葉・前頭葉皮質、および両側視床内側に萎縮がみられることがわかった。 一方、側頭葉てんかん患者における視床内の萎縮の分布をMRIのコンピュータ画像解析を用いて評価した。その結果、視床の内側および後方に萎縮がみられることが確認された。熱性けいれん重積症の患者と側頭葉てんかんの患者における視床の異常の分布の一致から、両者の関連が強く示唆された。 また、発症時の高解像度3D MRIを用いて海馬の形態異常を評価したところ、対照群と比較して患者群の海馬は内側に偏位し、断面は円形に変形していることがわかった。この形態変化は拡散画像で異常信号がみられなかった患者でも認められ、けいれん重積発症前からの先天的な形成異常が存在することが示唆された。このことから、熱性けいれん重積の発症から側頭葉てんかんへ進展するには、熱性けいれん重積を引き起こしやすくする海馬の先天的形成異常と、けいれん重積によって起こる海馬および視床の傷害が組み合わさった2ヒットの過程が示唆された。
|