2008 Fiscal Year Annual Research Report
小児感染症関連脳症における新たなバイオマーカーの探索
Project/Area Number |
20591225
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鳥巣 浩幸 Kyushu University, 大学病院, 助教 (10398076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉良 龍太郎 九州大学, 大学病院, 講師 (70304805)
實藤 雅文 九州大学, 大学病院, 助教 (50467940)
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Keywords | 神経科学 / 免疫学 / 脳神経疾患 / 感染症 / 小児科学 |
Research Abstract |
インフルエンザ脳症をはじめとする、感染症に関連して発症する急性脳症(感染症関連脳症)は、高率に後遺症を残す、小児期の重篤な急性神経疾患の一つである。しかし、現時点では、感染症関連脳症の病初期に患者の重症度を迅速に判断し、予後を予測することは困難であるため、経過を観察しながらその病因・病型を推定し、治療を進めているのが現状である。 我々は、2007年1月から九州大学病院に入院し、加療を受けた小児期の感染症関連脳症患者の集積を行い、臨床データの解析と発症初期の血液、髄液を用いた検査データの解析を行い、臨床症状との関連について統計学的検討を加えている。これまでに、3例のインフルエンザ脳症患者(1歳男、1歳女、6歳男)と1例のロタウイルス関連脳症患者(2歳男)、感染症との関連が不明の急性脳症患者2名(1歳女、2歳男)を集積した。重度の後遺症を残したものは、インフルエンザ脳症患者1名とその他の急性脳症患者1名であった。 現時点までの生化学データの解析では、サイトカイン産生過程の副産物と考えられる、尿中β2ミクログロブリン値が、急性脳症患者の重症度と関連する傾向が認められている。一方、白血球細胞表面マーカーの解析では、感染に対する初期の免疫応答を反映すると考えられる、CD56陽性NK細胞のCD69陽性率はインフルエンザ脳症患者で高い傾向にあるが、予後との関連は明らかではない。尿中β2ミクログロブリンは多くの基幹病院で測定可能であるため、急性脳症患者の早期の重症度予測や予後予測の簡便なマーカーとして応用が期待される。今年度もさらに症例数を増やして、解析をすすめていく予定である。
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