2010 Fiscal Year Annual Research Report
小児感染症関連脳症における新たなバイオマーカーの探索
Project/Area Number |
20591225
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鳥巣 浩幸 九州大学, 大学病院, 助教 (10398076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉良 龍太郎 九州大学, 大学病院, 特任講師 (70304805)
實藤 雅文 九州大学, 大学病院, 助教 (50467940)
石崎 義人 九州大学, 大学病院, 助教 (20572944)
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Keywords | 神経科学 / 免疫学 / 脳神経疾患 / 感染症 / 小児科学 |
Research Abstract |
感染症関連脳症では、発症早期の的確な診断とintensiveな治療の開始が予後改善に重要と考えられ、早期診断に有効な、簡便かつ迅速なバイオマーカーが必要とされている。我々は、尿中β2-microglobulin (BMG)補正値が、急性脳症の神経学的予後に相関があることを平成21年度の研究で報告した。本年度は、症例を増やし、尿中BMG補正値のウイルス関連脳症の病型による早期診断における有用性を検討した。対象者は小児153名(男91女62)。疾患の内訳はインフルエンザ(Flu)脳症7名、HHV-6(7)脳症6名、Rota脳症3名、その他の脳症34名、複雑型熱性けいれん66名(内Flu22名、HHV-6/74名)、異常行動37名であった。尿中BMG補正値(X100μg/gCr)中央値はFlu脳症43、HHV-6(7)脳症69、Rota脳症306、その他の脳症40、複雑型熱性けいれん40、異常行動46であった。尿中BMG補正値の異常高値患者はFlu脳症1例、HHV6脳症1例、急性壊死性脳症(HHV6脳症)1例、出血性ショック脳症3例(1例はロタ脳症)の計6例で、死亡または重度の後遺症を残していた。急性脳症患者の尿中BMG補正値を予後別に比較すると、死亡群+重度後遺症群は回復群と比較して有意に高値を示した(p<0.001)。早期の尿中BMG補正値は急性脳症患者で高く、著増例は死亡あるいは重度の後遺症を残していたことから、早期の尿中BMG補正値の上昇は脳症の予後不良因子と考えられ、尿中BMG補正値は急性脳症の早期の重症度診断に利用できる簡便なマーカーと考えられ、積極的に抗サイトカイン療法を行う根拠となりうると考えられる。ただし、けいれん重積型脳症例に関しては尿中BMGの低値例も重度の後遺症を残しており、予後判定には脳症病型も考慮する必要がある。
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Research Products
(7 results)