2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591230
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
久米 晃啓 Jichi Medical University, 医学部, 准教授 (10264293)
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Keywords | 遺伝子治療 / フェニルケトン尿症 / 先天代謝異常 / アデノ随伴ウイルス |
Research Abstract |
肝フェニルアラニン水酸化酵素(PAH)欠損に起因するフェニルケトン尿症(PKU)に対し、骨格筋を標的とする遺伝子治療の基礎検討を行った。前年度の培養細胞を用いた検討から、筋注用自己相補型アデノ随伴ウイルス(scAAV)ベクターに搭載する小型プロモータとして、サイトメガロウイルスプロモータ(CMV)と改変型筋クレアチンキナーゼプロモータ(dMCK)を準備した。これらのプロモータと、レポーター遺伝子としてヒト第IX因子(hFIX)遺伝子を搭載するscAAVベクターを構築した(scAAV/CMV-hFIX、scAAV/dMCK-hFIX)。これらのAAVベクターを野生型マウスの後肢筋に注射し、血漿中のhFIXをELISAで定量追跡した。ベクター筋注後マウス血中のhFIXは緩やかに上昇し、scAAV/CMV-hFIX投与群は8週後に平均約2%、16週後に約6%に達し、以後4-5%で推移した。一方、scAAV/dMCK-hFIX投与群は8週後に平均約2%に至り、以後そのレベルで推移した。これらの値は期待よりやや低いものの、血友病Bの治療レベルに達しているため、PAH遺伝子搭載scAAVベクター(scAAV/CMV-mPAH、scAAV/dMCK-mPAH)を構築した。これらのベクターを用いてPKUモデルマウスでフェニルアラニンを代謝させるためには、PAHの補酵素BH4も同時に補充する必要があるため、BH4の投与法を検討した。混餌による経口投与も可能であったが、より確実な投与法として、100mg/kgまでの水溶液腹注も可能であることがわかった。以上の結果を受け、PAH遺伝子導入の効果判定には遺伝子導入モデルマウスについてBH4投与前と腹注8時間後の血中フェニルアラニン濃度を比較することとした。
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