2009 Fiscal Year Annual Research Report
リソゾーム病の神経病変を標的とした新規骨髄移植法の開発
Project/Area Number |
20591234
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
三宅 紀子 Nippon Medical School, 医学部, 研究生 (00421206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 弘一 日本医科大学, 医学部, 准教授 (90267211)
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Keywords | HoxB4 / 異染性白質ジストロフィー / 骨髄移植 / 脳神経細胞 / レトロウイルスベクター |
Research Abstract |
リソゾーム酵素欠損症では、一般的に酵素補充療法の有効性が期待できるが神経変性を伴う疾患に対しては血液脳関門(BBB)の存在が大きな障害となり、有効な治療戦略が立てられていない。本研究では脳全体の広範な神経変性を伴う、異染性白質ジストロフィー(MLD)をモデルとして、脳神経組織に対する新しい骨髄移植法の開発を目的とする。我々はhomeobox transcriptional factor B4(HoxB4)発現骨髄細胞が骨髄幹細胞の増殖をもたらし、その結果移植による生着率の向上が可能である事を報告している(Miyake et al., Stem cell 2006)。HoxB4発現骨髄細胞の骨髄移植への有用性を脳全体の広範な神経変性を伴うMLDモデルマウスを使って検討を行った。5FU処理した正常マウスの大腿骨より骨髄細胞を採取し、レトロウイルスベクターにてHoxB4+GFPまたはコントロールとしてGFP遺伝子を導入し、致死量の放射線をかけたMLDモデルマウスに移植し、移植率及び脳神経細胞へ分化の率を検討した。コントロールと比較してHoxB4発現骨髄細胞を移植した群では高度の移植率を認めた。脳内においてもコントロールと比較して多数のGFP陽性細胞を認めた。脳内GFP陽性細胞はほとんどがIba1陽性であったが、HoxB4発現骨髄細胞を移植することによりオリゴデンドロサイトへの分化も認められた。また、コントロールと比較してHoxB4発現骨髄細胞を移植したMLDモデルマウスは脳内に置けるスルファチドの低下を認め、行動実験においても改善を認め、神経症状を治療することが可能であった。今後、脳内GFP陽性細胞の増加のメカニズムの同定を行っていくと共に安全性の検討を行っていく予定である。
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Research Products
(8 results)