2009 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期化学物質曝露による中枢神経形成期の神経機能と小児期の行動への影響
Project/Area Number |
20591237
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
上野 晋 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 講師 (00279324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笛田 由紀子 産業医科大学, 産業保健学部, 助教 (10132482)
由比 友顕 産業医科大学, 医学部, 助教 (60330982)
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Keywords | フロン代替物質 / 1-ブロモプロパン / 胎児期曝露 / 次世代影響 / 神経行動学的表現型 / オープンフィールド試験 / 高架式十字迷路試験 / 新奇物体探索試験 |
Research Abstract |
洗浄溶剤して汎用されているフロン代替物質の1-ブロモプロパン(以下1BP)については次世代に対する中枢神経学的影響が未だ明らかとされていない。本年度は1BPの胎仔期曝露モデル動物について幼若期の神経行動学的表現型を中心に検討した。 Wistar系のラットを交配させ、妊娠を確認した翌日から出産前日までの20日間、吸入曝露チャンバーを用いて1BPを濃度700ppmにて吸入曝露(6時間/日)させた(対照群として空気曝露を行った)。得られた雄性仔ラットを生後20日齢で離乳し、その後6週齢の終日まで個別飼育しながら4週齢では探索行動を評価するオープンフィールド試験、5週齢では不安水準を評価する高架式十字迷路試験、6週齢では視覚的認知記憶を評価する新奇物体探索試験を行った。さらに5週齢の仔ラットより海馬スライス標本を作製し、長期増強(LTP)について電気生理学的手法により検討した。 対照群と比べ1BP胎仔期曝露群ではまずオープンフィールド試験で総行動距離ならびに総行動時間に増加傾向が認められた。しかしながら高架式十字迷路試験ではオープンアーム進入回数割合、オープンアーム滞在時間割合に有意な差は認められなかった。新奇物体探索試験では視覚的認知記憶の指標であるDiscrimination ratioが対照群では50%より有意に大きかったものの、1BP胎仔期曝露群では50%との有意差を認めなかった。しかし5週齢における海馬の長期増強(LTP)については両群間で有意差が認められなかった。以上の結果から、情動性を反映する探索行動量と視覚的認知記憶能について一部ではあるが1BP胎仔期曝露の影響が認められた。ただ今回は離乳後の個別飼育という飼育条件が何らかの影響を及ぼしている可能性もあり、集団飼育した場合と比較することが今後必要である。
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