2009 Fiscal Year Annual Research Report
急性・慢性の小児神経疾患における難治性てんかん形成機序の解明
Project/Area Number |
20591238
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
林 雅晴 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00280777)
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Keywords | けいれん重積型脳症 / 軸索障害 / 髄液総タウ蛋白値 / West症候群 / 脚橋被蓋核 / アセチルコリン神経 / 大脳皮質形成異常症 / GABA系抑制性神経 |
Research Abstract |
基盤研究(C)(2)145707929(平成14~16年)「進行性ミオクローヌスてんかん発症機構に関する神経病理学的検討」・(C)(2)17591129(同17~19年)「難治性てんかんの治療法開発のための神経病理学的検討」でWest症候群(WS)、Lennox-Gastaut症候群(LGS)を含む難治性てんかんの病態を明らかにしてきた。本研究では患者生体資料と剖検脳を用いて、急性・慢性小児神経疾患での難治性けいれんの発症機序を酸化ストレス、興奮性・抑制性神経バランス異常の観点から解明する。本人・家族から提供同意が得られた急性脳炎・脳症患者髄液に関して、DNA・脂質の酸化ストレスマーカー、軸索損傷マーカーである総タウ蛋白の定量を市販ELISAキットにより進めた。二相性の臨床経過を呈するけいれん重積型脳症例で髄液総タウ蛋白値が第3病日以降に上昇することを明らかにし、病態への軸索障害の関与を考察した(Brain Dev epub ahead of print)。一方、大脳基底核と線維連絡し筋緊張・レム睡眠の形成に関与する脚橋被蓋核(PPN)アセチルコリン神経病変をWS+LGS既往剖検例、WSのみ既往剖検例で免疫組織化学に検討した。両既往群の6例中4例においてPPNアセチルコリン神経が選択的に障害されていることを見出し、WS・LGS病態へのPPNの関与を推定した(Neuropathology 2009 ; 29 (Suppl.) : 160)。さらに膵機能・インスリン分泌に異常を認めず難治の低血糖発作を繰り返した脳発達障害例において、大脳皮質GABA系抑制性神経、視床下部の神経ペプチド表出を免疫組織化学的に解析した。前頭葉・島回皮質に広汎にみられた形成異常でのGABA系抑制性神経障害が病態に関与している可能性を推定した(Brain Dev 2010 ; 32 (4) : 285-288)。
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Research Products
(6 results)