2008 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス機能分子Shank3に起因した広汎性発達障害の神経病態の解明
Project/Area Number |
20591239
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
内野 茂夫 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所代謝研究部, 室長 (30392434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 雅之 神経研究所, 疾病研究第二部, 室長 (50243407)
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Keywords | 自閉症 / SHANK3 / 22q13.3欠失症候群 / 遺伝子診断 / ゲノム / シナプス / 広汎性発達障害 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
本研究の目的は、自閉症の神経病態を神経細胞の発達・シナプス形成異常と捉え、シナプス機能分子をコードするSHANK3遺伝子に着目し、その異常を分子レベルで解析することにより小児自閉症の神経病態を解明することにある。昨年度、重度言語障害を呈する自閉症・精神遅滞患者127例についてSHANK3遺伝子の配列を解析した結果、SH3領域をコードするexon11の直下流に存在する10-bpからなる2つのGCリピートにおいて、1つ欠失している患者1例および1つ挿入され3リピートである患者3例を見出した。また、SH3領域近傍で6アミノ酸が欠失している患者1例を見出した。本年度、さらに、PDZドメイン内にアミノ酸置換(アルギニンからヒスチジン)をもたらすミスセンス変異を有する患者1例を見出した。昨年度の6アミノ酸欠失患者も含め、これらの変異は患者の血液からRT-PCR法によりクローニングしたcDNAにおいても確認できたことから、蛋白質レベルで変異を有する可能性が強く示唆された。そこで、患者でみられた6アミノ酸の欠失およびアミノ酸置換が、グルタミン酸受容体をはじめとする他のシナプス機能分子との相互作用に重要な機能領域にあることから、これらの変異Shank3とAMRA受容体との相互作用を免疫共沈法等の生化学的手法を用いて解析中である。これまで、SHANK3遺伝子の欠失や変異による自閉症の症例は数多く報告されているものの、機能領域内での変異に関しては全く報告されていない。本研究で見出した機能領域内のミスセンス変異や欠失変異は、今後のSHANK3遺伝子異常に基づく自閉症・精神遅滞の神経病態を理解する上で非常に意義深いと考えられる。
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Research Products
(3 results)