2008 Fiscal Year Annual Research Report
ニューログリカンCによる樹状突起スパインの形態制御機構
Project/Area Number |
20591240
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
時田 義人 Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center, 周生期学部, 主任研究員 (50291175)
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Keywords | ニューログリカンC / プロテオグリカン / コンドロイチン硫酸 / シナプス |
Research Abstract |
ニューログリカンC(NGC)は、シナプス形成の場となる樹状突起のフィロポディアに神経分化の初期から集積する神経特異的膜貫通型コンドロイチン硫酸プロテオグリカンである。またNGCノックアウトマウスは新生児期の前シナプスに機能変異がみられることから、NGCはシナプスの形成や機能に関与していると推測されている。 また、FGF(繊維芽細胞増殖因子)ファミリーのメンバーの一部は、神経細胞の前シナプスの形成を誘導する分子として報告されている。FGFによるシナプス形成機構を考えると、将来ポストシナプスに分化する樹状突起に可溶性分子であるFGFを固定する必要がある。一般にFGFファミリーの分子は、プロテオグリカンの糖鎖構造の一つであるヘパラン硫酸鎖に強く結合することが知られている。ところが同じグルコサミノグリカンであるコンドロイチン硫酸鎖との結合に関する研究は遅れている。 そこでプレシナプスを形成する活性を持つ複数のFGFとNGCの結合を検討し、プレシナプスの形成の分子機構の一端を明らかにすることを試みた。まず、プレシナプスの誘導活性のあるFGFの発現ベクターを作製し、この発現ベクターを用いてリコンビナントFGFを作製した。次いで、ラットの脳の膜画分を可溶化し、免疫沈降とウエスタンブロットでラット脳由来のニューログリカンCとFGFの結合活性を検討した。その結果、シナプス形成に関与する一部のFGFファミリーの分子が、NGCに結合することが明らかにされた。さらに、この結合はコンドロイチン硫酸を酵素処理によって除去したコア蛋白でも観察されたことから、次年度はNGCコア蛋白とFGFの結合にコンドロイチン硫酸が関与することで両分子の強固な結合を形成する可能性に関して検討を加える予定である。
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