2009 Fiscal Year Annual Research Report
ニューログリカンCによる樹状突起スパインの形態制御機構
Project/Area Number |
20591240
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
時田 義人 Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center, 周生期学部, 主任研究員 (50291175)
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Keywords | プロテオグリカン / シナプス形成 / 増殖因子 / コンドロイチン硫酸 / 神経細胞 |
Research Abstract |
本年度は、前シナプスの形成を促進する液性因子でありヘパリン結合性増殖因子の代表とされている繊維芽細胞増殖因子因子・FGFのシナプス形成機構に関する生化学的、細胞生物学的検討を行った。 FGFはヘパリンと構造的に相関の高いヘパラン硫酸プロテオグリカンと結合し生理機能を発揮すると考えられているが、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの関与に関しては研究が遅れている。そこで、神経細胞に発現しているコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの一つで、スパインの形態形成に関与しているニューログリカンC(NGC)とFGFの相互作用に関して検討を行った。 これまで、報告されている22種類のFGFの分子ファミリーの中から複数のFGF分子を選択し、リコンビナントFGF蛋白質を作製しNGCのコア蛋白質との結合に関する検討を行ってきた。昨年度の研究により同定したNGCと結合するFGFファミリーのメンバーを対象として水晶発振子マイクロバランス法等を用いた分子間相互作用の解析を行った。NGCのコア部分とコンドロイチン硫酸鎖とFGFの結合を解析した結果、NGCのコア蛋白に対するアフィニティーの高いFGFや、NGCのコンドロイチン硫酸に特異的に結合しているFGFを見出した。さらに、初代培養神経細胞と各FGFに対する特異抗体を用いてシナプス形成にNGC-FGFが関与する可能性について検討を行った。その結果、樹状突起フィロポディアにNGCとFGFが共局在していることを見出した。 以上の結果から、NGCとの結合合により可溶性分子であるFGFがシナプス形成の場に集積し神経回路の形成に関与する可能性が示された。
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