2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞核に局在するWASP蛋白質複合体の機能解明とその臨床的意義
Project/Area Number |
20591242
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
笹原 洋二 Tohoku University, 病院, 講師 (60372314)
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Keywords | シグナル伝達 / マイクロアレイ / 免疫学 / WASP / WIP |
Research Abstract |
1. 細胞核内におけるWASPの新しい機能解析 X染色体連鎖性好中球減少症はWASPの恒常的活性化変異により、WASP蛋白質の3次構造が変化して常にactive conformationの状態となり、結果として骨髄球系細胞の分化停止により引き起こされる病態である。本研究代表者は、まずHA-tagを付加した恒常的活性化変異型WASP、野生型WASP遺伝子発現ベクターを、内因性WASPを発現していない骨髄球系細胞株K562の恒常的発現株を樹立した。マイクロアレイ法にて、遺伝子発現プロファイルを骨髄球系細胞の分化、アポトーシスに関与する遺伝子群の転写に絞って網羅的に検索したところ、G-CSF受容体など幾つかの遺伝子発現が変動し、WASP活性化が細胞核内で遺伝子発現調節に関わっていることがわかった。G-CSF受容体の発現レベルの変化はPCR法にて確認した。また、Cos7細胞やTHP-1細胞を用いた実験から、恒常的活性化変異WASPはチロシンキナーゼによるチロシンリン酸化が亢進し、ポドゾーム形成が亢進し機能的にも活性化していることも確認した。現在WASPと遺伝子発現調節機構の関係につき更に検討中である。 2. 常染色体性、Type-2 WASとしてのWIP欠損症のスクリーニングの継続と病態解析 本研究代表者は既に、WIPがWASP蛋白質の安定性に重要な分子であることを報告している。常染色体性、Type-2 WASとしてのWIP欠損症の疾患概念を提唱するために、WAS様の臨床所見や経過がありながらWASP遺伝子に変異を認めない症例を対象に、広く国内より検体を募集することを継続して行っている。また、WASP蛋白質活性化後の蛋白質分解のメカニズムを、主にT細胞株を用いて解析し、蛋白質分解酵素やユビキチン-プロテアゾーム系が関与している結果を得た。現在WASP蛋白質分解機構の詳細な解析が進行中である。
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