2010 Fiscal Year Annual Research Report
先天性好中球減少症におけるG-CSF受容体遺伝子異常の臨床的・生物学的意義
Project/Area Number |
20591243
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
三井 哲夫 山形大学, 医学部, 講師 (30270846)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 貴子 山形大学, 医学部, 助教 (90312743)
早坂 清 山形大学, 医学部, 教授 (20142961)
|
Keywords | 先天性好中球減少症 / G-CSF受容体 / CSF3R |
Research Abstract |
研究協力施設から骨髄、末梢血検体を送付いただき、先天性好中球減少症と診断されたG-CSF (CSF3)受容体切断型遺伝子異常の出現の有無の経時的解析を引き続きおこなっている。そのなかで、G-CSF投与中の1例に経過中、CSF3受容体膜貫通部直上のヘテロの遺伝子変異を特定した(c.1947C>T:Ala569Val)。この変異はこの患者さんの口腔粘膜細胞由来のゲノムDNAからは検出されない事を確認し、切断型異常と同様に後天的変異と考えられた。この患者さんは臨床経過では症状には変化なく、驚いたことに、6か月後の骨髄からこの変異は消失した。この変異の変化の意義を詳細に検討するために、異常の出た骨髄における異常遺伝子の全体に対する割合の解析を試みたが、試料の少なさもあって、再現性のある結果を出すには至っていない。しかしながら、このようなゲノム不安定性ともいうべき兆候は白血病化への多段階の変化を考えて行く上で非常に興味深く、この患者さんの今後の継続的な解析が重要である。 また、様々ながんの多段階に渡る発がんの過程で注目されているDNAのメチル化やピストンのアセチル化、脱アセチル化といったepigeneticなメカニズムの異常に関してその解析の為の条件設定を進めている。特にG-CSF受容体の発現を制御しているepigeneticな転写因子であるCEBPα(CCAAT/enhancer binding protein-α)やこれを制御するHNRNPE2(heterogeneous nuclear ribonucleoprotein E2)は、臨床的には発がんと同様である慢性骨髄球性白血病の慢性期から急性期への移行において重大な役割を果たす事が示されているので、この2者の解析条件設定を行っている。
|
Research Products
(4 results)