2008 Fiscal Year Annual Research Report
システム生物学にもとづく白血病幹細胞モデルの構築と予測型治療戦略への基盤創成
Project/Area Number |
20591248
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
犀川 太 Kanazawa Medical University, 医学部, 教授 (60283107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松崎 俊彦 金沢大学, 機械工学系, 講師 (80293372)
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Keywords | システム生物学 / 白血病幹細胞 / セルラオートマトン / コンピューターシミュレーション / 血液病学 |
Research Abstract |
平成20年度の研究期間にセルラオートマトン法を用いた顆粒球系3次元造血モデルの臨床応用への妥当性を検討した。実際の抗がん剤による治療患者の血液データと比較し、モデル解析で得られた抗がん剤投与およびG-CSF投与時の顆粒球造血過程の細胞動態を解析した。モデルの細胞動態と臨床データは極めて一致し、モデルの有用性が示された。さらに、造血幹細胞移植後の顆粒球回復過程をシミュレーションし、幹細胞の供給源(骨髄幹細胞vs末梢血幹細胞)の違いによる生着時期の違いを検証した。 平成20年度の研究期間では(1)上記解析結果の学会報告、(2)論文発表、(3)シュミレーションプログラムの汎用化(Windows対応)を行った。 [結果] (1)学会発表:顆粒球系造血シュミレーションモデルを用いて検証した造血システムの恒常性維持、抗がん剤およびG-CSF投与時の顆粒球造血過程の細胞動態、幹細胞の供給源(骨髄幹細胞vs末梢血幹細胞)の違いによる生着時期の違いを第8回International Conference on Cellular Automata for Research and Industry, ACRI2008, Yokohama, Japan, September23-26,2008で口演発表(Computational Hematology in Systems Biobgy)した。 (2)論文発表:上記結果をまとめた論文は、Cellular Automataに掲載された(Computational Hematology in Systems Blology,LNCS5191,486-493,2008)。 (3)シュミレーションプログラムの汎用化:条件設定やデータ入力の簡易化および汎用化を進めるために、ユーザーフレンドリー仕様のWindows対応版を作成した。これにより、モニター画面上の入力ウインドウから一括した条件入力が可能となり、解析への大幅な簡易化が図れた。 次年度の研究課題として白血病幹細胞を顆粒球系3次元造血モデルへ導入し、骨髄性白血病モデルを作成する。これにより治療方針設定の指標となる微小残存白血病細胞(MRD)の動態を予測可能にする。さらに、MRDの骨髄細胞の正常分化への影響を動態解析から探る。これにより時間と労力を要するMRD解析に対応する簡易スクリーニングの開発を目指し、臨床に応用可能な再発予知因子を解明する。
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Research Products
(2 results)