2008 Fiscal Year Annual Research Report
抗第VIII因子インヒビターに対する免疫療法の効果発現機序に関する研究
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20591258
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
田中 一郎 Nara Medical University, 医学部, 講師 (00201616)
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Keywords | 第VIII因子 / インヒビター / 血友病 |
Research Abstract |
本年度は今後の研究に供する抗第VIII因子抗体(インヒビター)の性状の検討を行った。対象は先天性血友病患者16名に発生した同種抗体および後天性血友病患者16名に発生した自己抗体の性状をそれぞれ解析した。第VIII因子活性は第VIII因子欠乏血漿を基質とした凝固1段法で、第VIII因子抗原は高力価同種抗体を用いたサンドイッチELISA法で測定した。インヒビター力価はBethesda法で、IgGサブクラスは純化第VIII因子を固相化したELISA法で測定した。インヒビターの認識フラグメントはイムノブロット法もしくは第VIII因子フラグメントを用いた中和試験により同定した。 先天性血友病患者16名の第VIII因子活性はすべて1%未満であり、インヒビター力価は5.0-2,000Bethesda単位/mlであっ1 た。IgGサブクラスは9例中8例がIgG4に属していた。認識フラグメントの検索では12例中5例が第VIII因子H鎖を、4例がL鎖を、残り3例がH鎖とL鎖の両者を認識していた。一方、後天性血友病患者16名の第VIII因子活性はうち7例が1%未満であったが、9例では1.2-8.0%とわずかながら活性が検出された。従来言われているように第VIII因子とインヒビターが共存するタイプ2のインヒビターが半数以上を占めていた。これら9例の第VIII因子抗原も1.0-100U/dlと第VIII因子蛋白の存在が証明された。インヒビター力価は2.0-860Bethesda単位/mlであり、IgGサブクラスでは14例中IgG4優位のものが8例、IgG1優位が1例、IgG1+4が5例であった。認識フラグメントは9例中5例がL鎖を、4例がH鎖とL鎖の両方を認識していた。次年度は免疫寛容導入療法中のインヒビターの推移について解析を進めていく予定である。
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Research Products
(3 results)