2009 Fiscal Year Annual Research Report
抗第VIII因子インヒビターに対する免疫療法の効果発現機序に関する研究
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20591258
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
田中 一郎 Nara Medical University, 医学部, 准教授 (00201616)
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Keywords | 第VIII因子 / インヒビター / 血友病 |
Research Abstract |
本年度は同種抗体(インヒビター)を保有する先天性血友病患者6例の免疫寛容導入(Immune Tolerance Induction ; ITI)療法中のIgGサブクラスの推移を検討した。対象はすべて血友病A患者でITI開始時年齢は6-17歳、インヒビター出現からITI療法開始までの期間は4.5-10年、ITI開始前のインヒビター最高値は5-532BU/mlであった。ITI開始時インヒビター値はく0.6-3.9BU/mlと全例5BU/ml未満の低力価であった。6例中3例は第VIII因子H鎖44kDaフラグメントを認識し、3例はH鎖44kDaとL鎖72kDaフラグメントの両者を認識する抗体であった。ITI療法開始後のインヒビター最高値は0.9-1,818BU/mlであり、6例中3例でインヒビターが消失し、1,818BU/mlまで上昇した1例は中止した。成功例はITI開始後それぞれ1か月、5か月、12か月でインヒビターが消失したが、成功例と不成功例ではインヒビターの認識フラグメントに差は認めなかった。経過中IgGサブクラスは6例中3例でIgG1、IgG2、IgG4を、2例でIgG4を、1例でIgG2、IgG4を認識していたが、IgG3は全例とも全経過中陰性であった。ITI後、インヒビター上昇がみられた4例では主としてIgG4がインヒビター力価にほぼ平行して変動した。不成功に終わった1例ではIgG4とともにIgG1が著明に上昇した。ITIの治療効果のモニタリングとしてIgG1およびIgG4が有用であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)