2008 Fiscal Year Annual Research Report
ピルビン酸キナーゼ異常症に対する新規遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
20591264
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
槍澤 大樹 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 助教 (30337133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 仁 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (70221207)
藤井 寿一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70107762)
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Keywords | 遺伝子治療 / ピルビン酸キナーゼ異常症 / レンチウイルスベクター / siRNA |
Research Abstract |
ピルビン酸キナーゼ(PK)異常症のように変異蛋白がドミナントネガティブに働く遺伝病に対する、より効果的な遺伝子治療法を開発するために、新たなレンチウイルスベクターを作成した。本ベクターは、変異を持つPK遺伝子から転写された変異PK mRNAを標的としたshort interfering RNA (siRNA)とsiRNA標的部分に該当するコドンを同一のアミノ酸をコードする別のコドンに改変したsiRNA抵抗性の正常cDNAを同時に発現することが可能であり、細胞内では変異PK蛋白を正常PK蛋白によって置き換えることができると期待された。実際にこのベクターを用いて作成した組換えレンチウイルスをPK異常症の自然発生動物モデルであるPk-1^<slc>マウスより樹立した赤芽球系細胞株SLC-3に感染させたところ、内因性の変異型PK mRNAの発現抑制とsiRNA抵抗性の正常PK mRNAの発現がリアルタイムPCR法で確認できた。この細胞株では、長期に継代を重ねた後にも安定した正常PK mRNAの発現が認められた。ウエスタンブロット法による蛋白レベルでの解析では、組換えレンチウイルス感染前に認められた内因性の変異型PKタンパク発現量に匹敵するレベルの正常PK蛋白の発現が認められた。また、PK酵素活性を調べたところ、SLC-3では変異PK蛋白の高い発現にも関わらず、その酵素活性は低値であったが、組換えレンチウイルスを感染させた細胞では、正常細胞に匹敵するPK酵素活性を示していた。以上のことより、今回作成したレンチウイルスベクターは少なくとも細胞株のレベルでは当初の予想通り、変異PK遺伝子によって産生される変異PK蛋白を正常PKタンパクに置き換えることが可能であると考えられた。今後はPK-1^<slc>マウスを用いて、本ベクターによる遺伝子治療の基礎実験を試みたい。
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