2008 Fiscal Year Annual Research Report
がんのゲノム・発現解析から同定した遺伝子による、Mash1の転写と細胞増殖の制御
Project/Area Number |
20591268
|
Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
磯貝 恵理子 Chiba Cancer Center (Research Institute), がんゲノムセンター・がんゲノム研究室, 上席研究員 (40300917)
|
Keywords | neuroblastoma / neuronal development |
Research Abstract |
神経芽腫は神経堤細胞の分化過程の異常により生じる腫瘍である。神経芽腫の組織から同定された遺伝子LMO3とHEN2の機能について研究を進め、神経芽腫発生への両遺伝子の関与を示した。 1.ヒトMash1を継続的に高発現している株をヒト神経芽腫細胞SH-SY5Yでレトロウイルスを用いて樹立し、Mash1の継続的な発現が神経芽腫における細胞増殖を促進していることを確認した。 2.ヒトLMO3のsi-RNAを作製して、LMO3およびMash1を発現しているSH-SY5Yに導入し、細胞増殖に対する効果を調べた。更にMash1プロモーターを使ったReporter Assayと、半定量RT-PCR法によりLMO3、Mash1転写への効果を観察し、LMO3が神経芽腫において細胞増殖促進効果をもつと同時にMash1の転写を促進していることを明らかにした。 3.LMO3、HEN2、HES1によるMash1転写制御の分子機構について、Mash1プロモーターを使ったReporter Assay、Chromatin Immunoprecipitatio Assayにより検討した。(1)HES1によるMash1転写抑制効果をHEN2が阻害した。このHEN2のHES1阻害効果をLMO3が促進することによりMash1の転写増加が起こることが示唆された。(2)Mash1プロモーターのHES1結合配列にHEN2が結合してHES1の結合を阻害した。このときLMO3はHES1の結合を抑制し、HEN2の結合を促進した。 4.HEN2とLMO3がHES1と結合して、その効果を制御していることを免疫沈降法で示した。 5.in vitroの結果をin vivoで検討する目的で、神経堤細胞、末梢神経系、副腎髄質細胞でLMO3、HEN2を発現させたトランスジェニックマウスを作製するためのプラスミドの構築を行なった。
|