2009 Fiscal Year Annual Research Report
がんのゲノム・発現解析から同定した遺伝子による、Mash1の転写と細胞増殖の制御
Project/Area Number |
20591268
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
磯貝 恵理子 Chiba Cancer Center (Research Institute), 臨床ゲノムセンターガヘゲノム研究室, 上席研究員 (40300917)
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Keywords | neuroblastoma / neuronal development |
Research Abstract |
Mash1は正常な神経発生の過程で一過性に発現するが、神経芽腫では恒常的に発現している。我々は既に、予後不良な神経芽腫で発現しているLIM-only protein、LMO3とbHLH protein、HEN2が、Mash1の転写抑制因子であるHES1の機能を制御してMash1の転写を促進し、神経芽腫の発生に関与していることを明らかにしてきた。本研究では、これらの蛋白質がどのようなメカニズムでMash1の転写を調節し、神経芽腫の発生に関与しているかについて更に検討した。 1.Mash1の転写はHES1によって抑制されN-mycによって促進されるが、LMO3とHEN2はそれらの効果を阻害することがレポーターアッセーによって示された。 2.免疫沈降法により調べたところ、LMO3とHEN2はHES1やN-mycと結合した。 3.LMO3とHEN2は、HES1やN-mycのnegative-autoregulationを抑制することにより、それらの転写を促進することがRT-PCR法で示された。 4.N-mycのnegative-autoregulationは、histone deacetylase2(HDAC2)を介しておこることが報告されている。LMO3とHEN2はN-mycとHDAC2の結合に影響を及ぼしnegative-autoregulationを抑制することが免疫沈降法で示唆された。 従って、LMO3とHEN2は、神経幹細胞の維持に必要なHES1やN-mycの効果の阻害とMash1の継続的な発現を誘導し、その結果未成熟な神経発生が起こることが示唆された。 in vitroの結果をin vivoで検討する目的で、神経堤細胞、末梢神経細胞、副腎髄質細胞でLMO3、HEN2を発現させるトランスジェニックマウスを作製した。
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