2010 Fiscal Year Annual Research Report
がんのゲノム・発現解析から同定した遺伝子による、Mash1の転写と細胞増殖の制御
Project/Area Number |
20591268
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
磯貝 恵理子 千葉県がんセンター(研究所), 臨床ゲノムセンター・がんゲノム研究室, 上席研究員 (40300917)
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Keywords | neuroblastoma / neuronal development |
Research Abstract |
Mash1は正常な神経発生の過程で一過性に発現するが、神経芽腫では恒常的に発現している。我々は既に、予後不良な神経芽腫で発現しているLIM-only protein、LMO3とbHLH protein、HEN2が、Mash1の転写抑制因子であるHES1の機能を制御してMash1の転写を促進し、神経芽腫の発生に関与していることを明らかにしてきた。本年度はさらに以下のことを実施した。 1.神経芽腫の組織より抽出されたRNAから作られたcDNAを用いて、神経芽腫の組織における各遺伝子の発現量をReal-Time PCR法により比較しその関係を検討した。LMO3とMash1は、同一の予後不良な神経芽腫のサンプル郡において高発現を示し、予後不良な神経芽腫発生における両遺伝子の高い相関性が示された。 2.これまでにin vitroの実験系で明らかになってきた結果をin vivoで確認、検討するために、神経芽腫の発生母地である神経堤細胞や、神経芽腫が高頻度に発生する交感神経節細胞、副腎髄質細胞において、LMO3、HEN2の各遺伝子を高発現させたトランスジェニックマウスを作製した。 (1)LMO3やHEN2を神経堤細胞で発現させているトランスジェニックマウスでは、神経系や分離培養した神経堤細胞において異常が観察された。 (2)LMO3やHEN2を交感神経節細胞、副腎髄質細胞で発現させているトランスジェニックマウスでも異常な個体が生まれた。 今後これらのマウスについて各遺伝子の発現と形質の関連性について詳細な解析を行う。
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