2010 Fiscal Year Annual Research Report
ネフローゼ・腎炎発症における糸球体上皮細胞発現分子リン酸化カスケードの解析
Project/Area Number |
20591271
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
関根 孝司 東邦大学, 医学部, 教授 (50255402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 隆 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (70151256)
三浦 健一郎 東京大学, 医学部・附属病院, 助教 (70408483)
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Keywords | nephrin / neph1 / TRPC6 / phospholipase C(PLC)-γ1 / 細胞内Ca濃度 / ネフローゼ症候群 / チロシンリン酸化 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
私達は、2008~2009年度までに次の事項を明らかにしてきた。 1) スリット膜構成分子nephrin、neph1が細胞間の接着分子としての機能の他に、細胞内領域のチロシン残基のリン酸化によりpodocyte内のシグナル伝達をおこし、蛋白尿発症に関与すること(J Biol Chem 2008)。 2) nephrinリン酸化がPLC-γ1の結合と活性化により、細胞内Caシグナル制御に関与していること(J Biol Chem2009)を明らかにした。 本研究の最終年度である本年は、遺伝性巣状糸球体硬化症(FSGS)の責任分子の一つであるTRPC6(Transient receptor potential canonicals 6)変異とFSGS発生メカニズムを解明した。これまでTRPC6の変異が遺伝性FSGSの原因となることは明らかになっていたが、TRPC6の変異だけではTRPC6を介した細胞内Ca流入の機序を説明できないことも知られていた。私達は、1)リン酸化TRPC6がphospholipase C(PLC)-γ1と結合し、その結合がTRPCの膜発現に必須であること、2)nephrinがリン酸化TRPC6の細胞内領域と結合しTRPCの膜発現を制御していること、3)遺伝性FSGSの患者ではnephrinによるTRPCの膜発現の制御が障害されていること、4)この結果変異TRPC6チャネルを有するpodocyteでは恒常的な細胞内Ca濃度の上昇が予測される事、の4つの事実を明らかにした(Mol Biol Cell. 2011)。 3年間の研究を通じて、nephrin, neph1の細胞内領域のリン酸化が様々なシグナル伝達およびpodocyte機能、蛋白尿発症に関与していることを明らかにすることができた。
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Research Products
(5 results)