2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロアレイとヒト組織モデルによる慢性活動性EBウイルス感染症の病原因子の探索
Project/Area Number |
20591276
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 嘉規 Nagoya University, 医学部附属病院, 助教 (20373491)
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Keywords | EBウイルス / ヒト組織モデル / 感染モデル / 扁桃組織 / マイクロアレイ / 慢性活動性EBウイルス感染症 |
Research Abstract |
Epstein-Barrウイルス(EBV)は、ヒトに普遍に感染し、広範な疾患を引き起こす。小児期の難治性疾患としては、慢性活動性EBV感染症(CAEBV)がある。CAEBVは、発熱、リンパ節腫脹、および肝脾腫などの症状が持続し、10-15年程度の経過で死亡率が高くなる予後不良の疾患で病因には不明な点も多い。症例は日本をはじめとしたアジア地域に集積しており、この疾患の解明は小児科領域では非常に重要である。 CAEBVではEBVが本来の標的細胞であるBリンパ球ではなくTリンパ球およびNKリンパ球であることが特徴である。そのため、CAEBV患者のTリンパ球、NKリンパ球を分離して、その分画における遺伝子発現を網羅的に解析することは有用である。最近、私共はフローサイトメトリーを応用して感染細胞を同定するシステムを開発し、感染細胞を単離することが可能になった。各細胞分画中の感染細胞の性状を、表面抗原の種類により解析を進めている。 他方、ヒト扁桃組織を用いたEBV組織感染モデルを確立した。このモデルでは、3週間の培養期間のなかで、EBVがBリンパ球に感染ルスことは確認できたが、Tリンパ球およびNKリンパ球への感染は確認できなかった。培養条件を変えることにより、感染細胞が変化しないか、今後検討を加える予定である。組織から単離したリンパ球を用いてEBV抗原の発現パターンの解析や感染したBリンパ球の性状が明らかになりつつある。このモデルを用いて、抗ウイルス薬であるアシクロビルによる感染阻害が起こることが確認され、現在、ウイルスに対する抗体が感染を阻止できるかを検討している。このように、本感染モデルは、新規薬剤のスクリーニング系として有用であることが示されつつある。
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[Journal Article]2009
Author(s)
伊藤嘉規
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Journal Title
単純ヘルペスウイルス感染症. 小児科臨床ピクシス11抗菌薬・抗ウイルス薬の使い方(中山書店)
Pages: 152-157
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