2009 Fiscal Year Annual Research Report
炎症と細胞傷害の悪循環に関与する核内蛋白・HMGB1による新しい川崎病重症度評価
Project/Area Number |
20591281
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
野村 裕一 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (90237884)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 順一郎 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40295241)
橋口 照人 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (70250917)
|
Keywords | 川崎病 / HMGB1 / 重症度評価 / 免疫グロブリン大量療法 / 免疫グロブリン療法不応 / 冠動脈後遺症 |
Research Abstract |
臨床検査値を基にしたスクリーニングスコア(Gunmaスコア)と炎症と細胞障害の悪循環に関連するHigh Mobility GroupBox 1(HMGB1)を併せた免疫グロブリン大量療法(IVIG)不応例スクリーニングを行った。【方法】川崎病患児のIVIG前の血清を用いてHMGB1値をELISA法で測定した。川崎病患児は初回IVIGで軽快した児をIVIG反応例(反応例)とし、追加治療を必要とした児をIVIG不応例(不応例)として2群に分けて比較検討した。【結果】治療前の血清HMGBI測定を行った156例を対象に検討した。IVIG不応例が18例、IVIG反応例が138例だった。両群の性別、年齢に差はなかった。川崎病の診断病日、IVIG開始病日、IVIG量には差がなかったが、IVIG後の発熱期間は不応例が有意に長期間で、冠動脈後遺症(CAA)頻度も有意に高頻度だった。入院時検査所見は、不応群で白血球数、好中球%、CRPが有意に高値で、血小板数、Alb、Naが有意に低値だった。不応群のHMGBI値は高値の傾向があり、Gunmaスコアは有意に高点だった。IVIG不応スクリーニングとしてGunmaスコア4点以上を予測不応例とすると、その鋭敏度は61%、特異度は67%、精度67%だった。HMGB1高値例(15.2ng/ml以上)を予測不応例とすると、鋭敏度38%、特異度82%、精度78%だった。Gunmaスコア4点以上とHMGB1高値を予測不応例とすると鋭敏度78%、特異度58%、精度60%だった。Gunmaスコア5点以上とHMGB1高値を予測不応例とすると鋭敏度72%、特異度67%、精度70%と精度の向上がみられた。【結論】GunmaスコアのIVIG治療不応例スクリーニングの精度はHMGB1高値を加えることでその向上が期待される。今後も症例数を増やして検討していく必要がある。【研究の意義】CAA頻度はIVIGの更なる改善には、CAA発生頻度が高率であるIVIGに反応しない重症例をスクリーニングし、それらの症例において新たな治療戦略を検討する必要性がある。そのためにも本研究のように精度の高いIVIG不応スクリーニング法の開発を検討することは意義深いものと考えられる。
|
Research Products
(9 results)
-
-
-
-
[Presentation] 重症川崎病患者に対する免疫グロブリン・プレドニゾロン初期併用療法の有用性を検討するRAISE Study-研究デザインと進捗状況-2009
Author(s)
小林徹, 佐地勉, 薗部友良, 森川昭廣, 濱岡建城, 原寿郎, 小川俊一, 市田蕗子, 阿部淳, 野村裕一, 三浦大, 井上佳也, 荒川浩一
Organizer
第29回日本川崎病学会
Place of Presentation
名古屋
Year and Date
20091016-20091017
-
-
-
-
-