2008 Fiscal Year Annual Research Report
新興病原菌としての腸管凝集性大腸菌の分子疫学研究とイムノクロマト迅速診断法の開発
Project/Area Number |
20591282
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
西 順一郎 Kagoshima University, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40295241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 裕一 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (90237884)
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Keywords | 腸管凝集性大腸菌 / EAEC / AggR / 下痢原性大腸菌 / バイオフィルム / 付着線毛 / 酸耐性 / 乳幼児 |
Research Abstract |
下痢症患児から分離された腸管凝集性大腸菌Enteroaggregative E. coli (EAEC)の多様性を検討した。腸管凝集性大腸菌(Enteroaggregative E. coli, (EAEC)は、 HEp-2細胞への凝集付着を特徴とし,発展途上国の持続性下痢症の原因菌として知られているが,先進国でも乳幼児下痢症で分離頻度が高いことが最近報告された。 EAECは,転写調節因子AggRとその関連遺伝子群を持つtypical EAEC,持たないatypical EAECに区別されている。下痢症患児由来大腸菌を定量的バイオフィルムアッセイでスクリーニング後、 HEp-2細胞付着試験で判定した。病原遺伝子はPCRで検出し、遺伝子型はパルスフィールド電気泳動(PFGE)を用いた。また0.03%塩酸、0.4%乳酸(pH2.0)に対する酸耐性試験を行なった。下痢症由来大腸菌2,594株中114株(4.4%)がEAECであり, typical EAECが69株(60.5%)、atypical EAECが45株(39.5%)であった。 typical EAECの病原遺伝子検出頻度はatypical群に比べて高かったが、既知の付着線毛遺伝子が検出されたのは16株(23%)のみであった。 PFGEによる遺伝子型はいずれの群も多様性が著明であった。典型的な凝集付着様式を示す株がtypical EAECで54株(78.3%)を占め、atypical群では非典型的なものが多かった。バイオフィルム形成能,酸耐性度もtypical EAECが有意に高かった。 EAECの検出頻度は4.4%と比較的高頻度であった。 typical EAECがatypical EAECにくらべて強い病原性を持つことが示されたが,過去に報告された付着線毛遺伝子を保有しない株も多く、未知の病原因子の存在が推測される。また遺伝子型,表現型ともにEAECには多様性が顕著であった。
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Research Products
(5 results)