2009 Fiscal Year Annual Research Report
母体低栄養、ステロイド投与のネフロン形成への影響およびそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
20591286
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
粟津 緑 Keio University, 医学部, 講師 (20129315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飛彈 麻里子 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (20276306)
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Keywords | 母体低栄養 / シグナル伝達 / ネフロン数 / プログラミング / 腎発生 / MAPキナーゼ / βカテニン / 尿管芽 |
Research Abstract |
母体低栄養によりネフロン数は減少し高血圧をきたすが詳細な機序は不明である。平成20年度に腎発生において重要な役割をはたすシグナル分子ERK、p38、PI3K、Akt、βカテニンの活性、発現を胎生18日(E18)の母体低栄養ラット(NR)胎仔腎で検討したところ、予想に反し増加していた。そこで昨年度は母体低栄養胎生15日(E15)の後腎で同様の検討を行い、これらのシグナル伝達経路が抑制されていることを見いだした(対照のそれぞれ0.6、0.8、0.7、0.5、0.7倍、すべて有意)。またE15、E18のNRにおけるアポトーシスの指標cleaved caspase 3の発現は対照のそれぞれ53%、13%に、増殖の指標PCNAは89%、70%に減少していた。組織学的にはTUNEL陽性細胞はE15、E18のNRの糸球体原基周囲に少数認められた。Ki67発現はE18のNRのnephrogenic zoneで対照に比し増加していた。その他の発達段階におけるKi67発現はNRと対照で差がなかった。また母体低栄養ラットE13の尿管芽分岐は2で対照と差がなく腎サイズも等しかったが、E14、E15では尿管芽分岐(11.2±1.3 vs 21.3±1.0および31.0±1.7 vs 59.6±3.5)、腎サイズ(57±5%、80±3%)ともに有意に減少していた。母体低栄養胎仔腎ではE14以降の尿管芽分岐、腎成長が抑制され、その原因として発生早期におけるシグナル伝達経路の抑制が考えられた。
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