2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591290
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
吉川 哲史 Fujita Health University, 医学部, 准教授 (80288472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 喜造 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40131180)
菅田 健 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (60454401)
井平 勝 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 准教授 (10290165)
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Keywords | HHV-6 / 初感染 / 脳炎 / サイトカイン |
Research Abstract |
【はじめに】突発性発疹匠は乳幼児期にほとんどの小児が罹患する予後良子好な熱性発疹症でるが、稀に重篤な中枢神経合併症として脳炎・脳症を起こすことが知られている。本研究ではHHV-6脳炎・脳症の発症メカニズムを解明するために、脳脊髄液(CSF)中のウイルスDNA量とサイトカイン、MMP-9濃度について検討した。 【対象と方法】対象は血清学的診断(HHV-6抗体価の4倍以上上昇)あるいは血清中のHHV-6 DNA検出によって診断された、HHV-6脳炎・脳症19例(男児8例、女児11例:平均年齢12.4±6.9ヵ月)、HHV-6初感染(ウイルス分離、血清診断)による複雑型熱性痙攣5例(HHV-6 FC群)(男児1例、女児4例:平均年齢132±63ヵ月)およびHHV-6感染を否定された複雑型熱性痙攣19例(非HHV-6 FC群)(男児8例、女児11例:平均年齢17.9±10.4ヵ月)の3群。いずれも発症後48時間以内にCSFを採取されている。CSF中HHV-6 DNA量はreal-time PCR法により測定。また、CSF中サイトカイン量(IL-8、IL-18、IL-6、IL-10、TNF-α、IL-12p70)はCytometric Bead Array (CBA) (BD Biosciences)によって、CSF中MMP-9はELISA (Amersham Biosciences)によって測定した。 【結果】3群間において年齢、性別に有意差はなかった。HHV-6脳炎・脳症19例中5例(26.3%)でCSF中からHHV-6 DNAが検出(225-178.5 copies/ml)されたが、他の2群では陽性例はなかった。CSF中サイトカイン及びMMP-9については、HHV-6脳炎・脳症のCSF中IL-8 (p=0.008)、IL-6 (p=0.030)及びMMP-9 (p=0.004)が非HHV-6 FC群と比較して有意に高かった。しかしながら、HHV-6脳炎・脳症のCSF中サイトカイン、MMP-9はHHV-6 FC群と比較して有意な差を認めなかった。また、HHV-6 FC群、非HHV-6 FC群間ではCSF中のこれらバイオマーカー濃度に差はなかった。 【考察】HHV-6脳炎・脳症例CSF中のHHV-6 DNA検出率は26%とそれほど高くなく、また陽性例のウイルスDNA量も少なかった。さらに、HHV-6脳炎・脳症例のCSF中IL-6、IL-8濃度がコントロールと考えられる非HHV-6 FC群と比べ有意に高値を示したことから、本症の発症にはウイルスの中枢神経系への直接侵襲よりは、サイトカインを介した中枢神経局所での炎症反応が脳炎・脳症発症に重要な役割を演じていると考えられる。
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