2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591290
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
吉川 哲史 Fujita Health University, 医学部, 准教授 (80288472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 喜造 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40131180)
菅田 健 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (60454401)
井平 勝 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 准教授 (10290165)
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Keywords | HHV-6 / 初感染 / 再活性化 / 移植 / 脳炎 / サイトカイン |
Research Abstract |
【目的】HHV-6は他のヘルペスウイルス同様初感染後生体内に潜伏感染し、移植患者などの免疫不全患者で再活性化する。本ウイルスは初感染時、再活性化時いずれの状況においても脳炎を発症することが明らかとなっているが、その臨床像はかなり異なる。よって、今年度の研究では、初感染時のHHV-6脳炎、再活性化時のHHV-6脳炎の病態の相違を明らかにすることを目的とした。 【方法】22例の初感染時HHV-6脳炎症例、6例のHHV-6感染に伴う熱性けいれん例、14例の非HHV-6熱性けいれん例。さらに、造血幹細胞移植後のHHV-6脳炎症例7例、成人コントロール8例の髄液を用い、髄液中ウイルスDNA量、サイトカイン、ケモカイン、MMP-9、TIMP-1等のバイオマーカーを包括的に測定した。 【結果】22例の初感染時HHV-6脳炎患者では、7例で低いコピー数のHHV-6 DNAが検出されたのに対し、移植後のHHV-6脳炎患者群では全例でより多量のHHV-6 DNAが検出された(P<0.001)。髄液中IL-6(P=0.032)、IL-8(P-0.014)、MMP-9(P=0.004)、TIMP-1(P=0.002)は初感染時HHV-6脳炎例のほうが非HHV-6熱性けいれん例より有意に高値を示した。また、髄液中IL-6(P=0.008)、IL-8(P=0.015)、IL-10(P=0.019)は、移植後HHV-6脳炎例のほうが成人コントロール症例より有意に高かった。 【考察】初感染時HHV-6脳炎と、移植患者における再活性化時HHV-6脳炎の病態は異なることが示唆された。初感染時HHV-6脳炎は、ウイルスの中枢神経系への直接侵襲よりも宿主免疫反応がより重要な役割を演じている可能性が考えられた。一方、移植後HHV-6脳炎は、中枢神経系でのウイルスの直接侵襲と、それに伴う局所での炎症反応が重要と考えられた。
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Research Products
(4 results)