2008 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病発症と冠動脈病変形成・進展における樹状細胞の役割の解明
Project/Area Number |
20591291
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
須田 憲治 Kurume University, 医学部, 准教授 (10399173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 智之 久留米大学, 高次脳疾患研究所, 准教授 (20332687)
安川 秀雄 久留米大学, 循環器病研究所, 講師 (60289361)
家村 素史 久留米大学, 医学部, 助教 (30399175)
牟田 広実 久留米大学, 医学部, 助教 (40343694)
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Keywords | 医療・福祉 / 川崎病 / 病因 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
平成20年度末までに、急性期川崎病患者31例(川崎病群)、川崎病が否定された感染による入院患者23例(有熱対照群)、健常コントロール12例(健常群)について解析しえた。川崎病群は入院時、ガンマグロブリン静注後、発症1ヵ月後、有熱対照群は入院時、健常群は受診時に採血した。3カラーフローサイトメトリーにより流血中の、骨髄前駆細胞由来樹状細胞(mDCs)およびリンパ系前駆細胞由来樹状細胞(pDCs)を測定し、同時に血算、血液生化学検査を行った。各群間で樹状細胞分画、絶対数を比較すると共に川崎病群では3時点で比較した。樹状細胞の絶対数と相関する属性因子や血液生化学検査値ついて検討した。 具体的な成果:3群間で年齢に有意差はなかった。川崎病群と有熱対照群は健常群と比べて有意に白血球数、CRPは高かったが、ヘマトクリットと血清ナトリウム値は低かった。川崎病群は有熱対照群や健常群と比べて血清アルブミン値は有意に低かった。流血中のpDCsの数はは3群間で有意差は無かったが、mDCsの数は川崎病群が他の2群よりも有意に少なかった。この川崎病群の少ないmDCsはガンマグロブリン療法によりすぐに正常化したが、pDCsは徐々に正常化した。流血中のmDCsの数は、CRPと負の相関を示す一方、血清アルブミン値と正の相関を示した。 意義と重要性:我々は世界で初めて、1)川崎病急性期に流血中の樹状細胞、特に骨髄前駆細胞由来樹状細胞が、他の有熱疾患や健常児に比べて有意に低下していること、2)この末梢血中の骨髄前駆細胞由来樹状細胞数が、CRPやアルブミン値などの川崎病の重症度と相関すること、そして3)末梢血中の骨髄前駆細胞由来樹状細胞数が免疫グロブリン大量療法により急激に正常化していることを発見した。さらに研究を進めることで、川崎病初期の病態が明らかになるとともに、新たな治療法の開発につながる。
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