2010 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外線時間分解分光法による新生児期の貧血と多血症における脳内酸素化に関する研究
Project/Area Number |
20591299
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
磯部 健一 香川大学, 医学部, 准教授 (00159815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下 隆 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (50274288)
大久保 賢介 香川大学, 医学部, 助教 (80335851)
小谷野 耕佑 香川大学, 医学部附属病院, 病院助教 (20437685)
西田 智子 香川大学, 教育学部, 教授 (00243759)
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Keywords | 貧血 / 脳内酸素化状態 / 脳血液量 / 近赤外線分光法 / 時間分解分光装置 / 新生児 / 未熟児 / 新生仔豚 |
Research Abstract |
新生児豚の急性貧血モデルを用いた昨年度までの基礎的研究により、貧血の進行により脳血液量が増加し、その程度は貧血の重症度に比例することを明らかにした。今年度の研究では、未熟児貧血の輸血時における脳循環・脳内酸素化状態を検討した。 (対象および方法)本院総合周産期母子医療センターNICUに入院していた極低出生体重児で、赤血球輸血ガイドラインに従って輸血療法の適応とされた10名の児について、輸血前後に近赤外線時間分解分光装置(TRS)を用いて脳内酸素化ヘモグロビン(Hb)濃度、脳内脱酸素化Hb濃度を測定し、脳内Hb酸素飽和度および脳血液量(CBV)を算出した。 (結果および考察)10名に計15回の測定を行った。在胎週数は中央値27週0日、出生時体重は中央値749g、輸血実施時毎の輸血時修正週数は中央値30週5日、輸血前血中Hb濃度は平均±標準偏差で9.5±1.49/dL、輸血後血中Hb濃度は13.1±0.99/dL、輸血量は17.2±3.0mL/kgであった。 輸血によりCBVは有意に減少し(前:2.55±0.60、後:2.11±0.29mL/100g、p=0.0073)、脳内Hb酸素飽和度は有意に増加していた(前:71.9±4.9、後:74,2±4.5%、p=0.0018)。また、輸血前の血中ヘモグロビン濃度とCBV低下率に有意な負の相関(r=-0.706、p=0.0033)が認められた。これらの結果は輸血により脳への酸素供給量が増加し、脳での酸素必要量が満たされたことおよび脳の酸素必要量の程度を反映していると解釈された。 (結論)CBVの測定は、輸血療法の適応を検討する際の一つの指標になり得ると考えられた。
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