2009 Fiscal Year Annual Research Report
絨毛細胞の血管内皮様分化における細胞系列並びに分化誘導刺激の特異性に関する研究
Project/Area Number |
20591301
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福嶋 恒太郎 Kyushu University, 大学病院, 講師 (40304779)
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Keywords | 絨毛細胞分化 / 分化 / 活性酸素種 / 低酸素 / アポトーシス |
Research Abstract |
これまでの検討により、絨毛の浸潤過程において寡能性EVTは細胞外基質や液性因子のみならず酸素濃度など周囲の環境を調節因子としてこれに適応するように分化することが示唆されている。さらに、妊娠高血圧症候群(PIH)患者胎盤では低酸素再潅流障害に関わる、Xanthine Oxidase(XO)の発現上昇が報告されていること、我々の検討でも患者血漿中H202濃度が対照妊婦に比し有意に高値を示し、血清尿酸値と相関することがわかった。そこで、本年度はTCL1細胞において、諸種の酸化ストレスがどのようにその表現形に影響を与えるか、細胞増殖、細胞浸潤、既知の絨毛細胞の分化に関わるタンパクの発現を指標として検討を行った。 細胞培養液中に基質としてxanthine(X)、XO、細胞数、細胞浸潤能、細胞分化に関連する遺伝子、遺伝子産物発現について検討した結果、X+XO添加時には容量依存的に培養上清中の尿酸値が上昇し、これに伴い接着細胞数が減少し、細胞浸潤能も低下した。タネル法ではこの細胞減少はアポトーシスによるものであった。 阻害剤であるcatalase、アロプリノールを添加したところ、この細胞数減少ならびに細胞死はアロプリノールならびにcatalase添加で抑制されたがSOD添加では抑制されなかった。 H202を培養上清中に加えたところ、X, XO添加時と同様にTCL1細胞にアポトーシスが誘導された。 以上のことから、XOが産生するROSはヒトEVT細胞株にアポトーシスを誘導し,細胞浸潤能や細胞分化を抑制すること,これらの影響は主としてH202により惹起されることが示された。このことは、妊娠高血圧症候群の病態形成においては胎盤局所でも単に酸素濃度のみならず虚血再潅流等によるROSが関与することを示唆すると考えられ、今後はその分子機構をさらに検討していく。
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Research Products
(5 results)