2009 Fiscal Year Annual Research Report
新生児の血栓・DICの病因解明と治療法開発の基礎および臨床的研究
Project/Area Number |
20591304
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
高橋 幸博 Nara Medical University, 医学部, 教授 (60142379)
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Keywords | 新生児 / 線溶機能 / TAFI / 血栓症 / DIC / HIT / ADMTS-13 / ストレス |
Research Abstract |
平成21年度に実施した研究の成果 1. 新生児の血栓形成に及ぼす線溶機構を研究した。生後早期は、凝固亢進および線溶亢進の状態にある。しかし正常新生児では血栓形成はまれである。また、凝固・線溶因子の量的バランスは成人とは全く異なるが、成長とともに成人のバランスに発達する。新生児はビタミンK依存性凝固因子量の低下が見られるが、TEGでは全血凝固時間は短縮し、止血機能の低下はない。一方、第XIII因子(XIII)の低下があるが、D-dimerは高値を示し、トロンビン・XIIIで形成されたフィブリン(Fbn)はt-PAで容易に溶解し線溶は亢進している。また、この亢進をin vitroで再現した場合、XIII低下では説明は困難である。そこでTAFI(トロンビン活性化線溶阻止因子)の動態を詳細に調べた。ところ、TAFI活性の著明な低下が確認された(日本血栓止血学会等で発表した)。したがって、TAFIはFbn塊のリジン残基を切断しt-PAやプラスミノゲン吸着が阻害し、線溶抑制に作用する。TAFIの低下はt-PAやプラスミノゲン結合を容易にさせてFbn栓を容易に溶解することで、分娩のストレスで、凝固亢進状態で、血栓形成に傾く状況の改善につながることが考えられた。 2. 新生児の血栓症の実態を、日本産婦人科新生児医学会、日本周産期新生児医学会会員施設および新生児医療連絡会(約300施設)に血栓症発症の実態を発症頻度、発生場所、治療について、本学倫理委員会の承認のもと、全国調査した(現在データ;クロネコ便で発送)。現在データ解析し論文作成中。また本学での血栓症発生例にHIT、ADAMTS-13を含め・検索した。同時に発症おトリガーとしてストレスの関与も検討した。 3. 新生児のDIC発症例について全国調査し、基礎疾患では新生児仮死、敗血症、出血、感染症が重要な要因で、前2者は凝固系・線溶系検査で異なる特徴があることが判明した。結果は日本小児科学会日本産婦人科新生児学会、日本血栓止血学会で報告し、日本産婦人科新生児学会に論文を投稿した。DICに関する臨床論文を作成中である。
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Research Products
(12 results)