2010 Fiscal Year Annual Research Report
新生児の血栓・DICの病因解明と治療法開発の基礎および臨床的研究
Project/Area Number |
20591304
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
高橋 幸博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60142379)
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Keywords | 新生児 / 血栓症 / 播種性血管内凝固 / トロンボモジュリン / 頭蓋内出血 / TAM / 肝線維症 |
Research Abstract |
新生児の血栓・DICは、最も重症度が高く治療に難渋する血液疾患である。全国の新生児医療機関の協力も得て、5年間の新生児血栓症の発症頻度と病因・病態、診断、治療を再調査し、2004年の第1回全国調査と比較し報告した。結果は、発症頻度や報告施設数が増加し、新生児血栓症への認識が高まった。発症頻度も2倍に増加した。しかし、欧米の報告と比較し発症は少なく、人種的背景があると考えられる。病因は中心静脈カテーテルが最も多く、管理と抗血栓カテーテルの開発が急務である。治療にtPAの使用が増加した。今後安全な使用指針が必要である。DICの全国調査を行った。新生児DICの病因は、新生児仮と敗血症に大きく分かれる。他に出血も重要な病因である。治療は従来の治療法に加えトロンボモジュリン(TM)が有用であった。特に重症仮死後のDICには、DICの改善に加え中枢性障害の改善が得られた。本研究終了後も、重症新生児仮死の治療につなげたい。新生児抗血栓カテーテルの開発はin vitroでの効果は得られたが、動物実験には至っていない。抗血栓薬のin-vitroの効果をTEGで評価した。FOY、 Futhan、 TM、 APCとATはその抗血栓効果に明らかに差異を認めた。TMは極めて有用性が高いと考えられた。DICへの治療効果を全血を用いTM、 APC、 Futhan、 ATと比較しその特徴を明らかにした。血栓症・DICでは血小板減少が問題となる。新生児血小板減少症を調査し、血小板輸血製剤の安定性の基礎研究を行った。血小板は核を有しないが、製剤中には核蛋白のHMGB-1が多く存在した。製剤輸注後の肺疾患が問題となっており関連性を調査する必要がある。出血症で重要な新生児頭蓋内出血について調査した.さらに新生児の血液疾患で、かつ肝疾患でもあるTAMのGATA-1遺伝子解析と肝線維症の新たな治療法を報告した。
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Research Products
(12 results)