2008 Fiscal Year Annual Research Report
レドックス制御系による新生児慢性肺疾患の新規治療方法の開発に向けて
Project/Area Number |
20591311
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Maternal and Child Health |
Principal Investigator |
柳原 格 Research Institute, Osaka Medical Center for Maternal and Child Health, 免疫部門, 部長 (60314415)
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Keywords | 新生児慢性肺疾患 / 早産 / レドックス |
Research Abstract |
わが国の早産児の死亡率は世界の中で最も低い水準である。しかしながら出産年齢の上昇、ストレス社会の問題も絡み、早産比率はじわじわと上昇している。希望に満ちた次世代の健やかなる育成は医療関係者にとって、そして人類の存亡をかけた最重要課題である。本研究の目的は、早産及び低出生体重児の合併症の抑制と制御にある。また、制御可能な早産を感染性炎症の絡んだ早産と捕らえ、LPS誘導性早産モデルマウスに対する新規治療方法の開発を目指し、抗炎症作用、抗酸化作用を有するレドックス制御系蛋白質チオレドキシンの効果について解析を行った。妊娠マウス15日目にLPS200μg/kgを3時間毎に2回(0時、3時)投与し、早産モデルを作成した。LPS初回投与1時間前から3時間毎に3回投与し、治療群にはチオレドキシンを3回投与した。コントロールとしたLPS単独、PBS、OVAにおける早産率は、それぞれ94,100,89%と高率に早産を起こしたのに対し、チオレドキシン投与群では、早産率は40%に減少した。また、母獣血清中の炎症性サイトカイン値(TNF-α、IFN-γ、IL-6)なども減少し、全身性のサイトカインストームの抑制が本モデルマウスにおける早産比率の減少につながったものと考えられた。臨床現場においては、胎内閉鎖空間における炎症を捕らえることが難しく、また、抗菌薬治療など既存の治療方法では対応が困難な場合も多く、早産の制御は困難であり、本研究成果は大いに期待される。今後、チオレドキシンによる早産抑制メカニズム、胎盤病理などを解析する。
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Research Products
(11 results)