2009 Fiscal Year Annual Research Report
p53類似遺伝子p51/p63とMafによる表皮細胞の制御機構
Project/Area Number |
20591314
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
奥山 隆平 信州大学, 医学部, 教授 (80292332)
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Keywords | 表皮細胞 / p51/p63 / シグナル伝達 / Perp / 乾癬 / Bach |
Research Abstract |
p51/p63は表皮細胞の制御に深く関わっていることが遺伝子欠失マウスの解析から明らかになっている。p51/p63は多様な働きを有する分子と思われるが、その作用の詳細は未だ十分明らかになっていない。前年度の解析で、p51/p63は表皮細胞の接着因子であるデスモプラキンの発現をプラスに調節していることをみつけた。この結果を踏まえ上皮細胞の接着の面から、p51/p63の作用の解析を進めることとした。表皮細胞は通常細胞同士が隙間なく接着してシートを形成しているが、創傷治癒や癌転移などの際には細胞接着が弱まり、バラバラになり1個1個の細胞として存在するようになる。シートであることが上皮細胞の特徴とすると、バラバラであることは間葉系細胞の特徴なので、上皮細胞がバラバラになる現象は、上皮-間葉移行と呼ばれている。この上皮-間棄移行においてTGFβが重要な作用を有していることが知られているので、表皮細胞にp51/p63とTGFβを作用させて、デスモプラキンの発現と細胞接着を検討した。その結果、TGFβによって細胞接着が弱まりバラバラな形状になる傾向は、p51/p63によって抑制されることがわかった。さらに、デスモプラキンの発現量はTGFβによって減少する一方、p51/p63によってデスモプラキンの発現量は増加した。以上から、p51/p63はデスモプラキンの発現を介して上皮細胞の接着を維持することで、上皮-間棄移行を抑えて上皮細胞のシートを呈する性格をサポートしている可能性があるのではないかと考えた。ただし、研究のスタート時に着目した転写因子Mafに関しては、表皮細胞での発現を増減させたが、細胞接着の面では明らかな変化はみられなかった。
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Research Products
(7 results)