2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591318
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高田 実 Shinshu University, 医学部, 准教授 (20154784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 浩 信州大学, 医学部, 助教 (70262722)
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Keywords | 黒色腫 / KIT受容体 / 分子標的治療 |
Research Abstract |
KIT受容体はメラノサイトの増殖・分化に重要な役割を演ずるProtein tyrosine kinaseであり、肢端部、粘膜および持続的露光部に発生する黒色腫の28〜39%では、KIT遺伝子変異またはコピー数増加が認められることが最近報告されている。そこでわれわれは、肢端部および粘膜の黒色腫28例(原発4例、転移24例)におけるKIT蛋白の発現とKIT遺伝子変異を検索した。免疫組織染色では、13例(48%)に中等度以上のKIT受容体の発現が認められた。KIT遺伝子変異のhot spotであるエクソン11, 13, 17および18のダイレクトシークエンスでは2例の転移腫瘍にK642EおよびD820Y変異が検出された。Real-time PCR法を用いたKIT遺伝子のコピー数解析ではK642E変異を示す1例を含む4例にKIT遺伝子コピー数の増加が認められた。さらに、凍結組織13例を用いたWestern blot法解析では8例(62%)にKIT受容体のリン酸化が確認された。リン酸化はKIT遺伝子の変異や増幅を認めない5例にもみられ、これらの症例では免疫組織染色でメラノーマ細胞および間質細胞にKITのリガンドであるstem cell factor(SCF)の発現がみられたことから、autocrineまたはparacrine刺激によるKITの活性化が示唆された。さらに、肢端黒色腫細胞株を用いてKITを標的とする分子標的薬であるimatinib(Glivec[○!R])とsunitinib(Sutent[○!R])の増殖抑制効果を検討した。その結果、D820Y変異を示すSM3株に対してimatinibは無効であったが、sunitinibは10μMで強い増殖抑制効果を示した。一方、SCF依存性のKIT活性化を示す野生型のSMYM-PRGP株に対しては、matinib、sunitinibともに増殖抑制効果が認められ、特にsunitinibでKITのリン酸化の強い抑制がみられた。以上の成績から、転移腫瘍の免疫組織染色と遺伝子解析により適切に症例を選択すれば、KITを標的とした進行期黒色腫に対する分子標的治療が可能であることが示唆された。
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