2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591318
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
村田 浩 信州大学, 医学部, 助教 (70262722)
|
Keywords | 悪性黒色腫 / 分子標的治療 / 末梢血液循環腫瘍細胞 / BRAF遺伝子 / Rbタンパク |
Research Abstract |
悪性黒色腫の分子標的治療には、各症例に応じた分子標的を選択する必要がある。各症例で現在存在している腫瘍細胞の遺伝子型の検索を目的とし、抗HMW-MAA抗体を用いて末梢血液循環腫瘍細胞を抽出する実験を継続した。KIT遺伝子については安定した結果を得ることができなかったので、主にBRAF変異を中心に検索した。症例を増やしてもBRAFの変異は症例ごとに一定ではなく、メラノーマ細胞の多クローン性を示唆する所見であった。現在、国際的にもBRAF V600E変異特異的な分子標的治療薬PLX4032が注目されているが、その欠点として奏功期間があまり長くないことが挙げられている。メラノーマの多クローン性がこれに関与している可能性があり、また、この検査がこれら変異特異的薬剤の適応と耐性出現をより早く検出するため、有用な検査法となりうると考えられた。 一方、この薬剤耐性の一部はBRAFを経由せずに下流のRbタンパクをリン酸化することによると考えられている。そこで下流の詳細を検討したところ、メラノーマではcyclin D、cyclin EともにBRAFの下流にあり、そのどちらか一方を阻害してもRbのリン酸化を抑えられなかった。BRAF特異的阻害剤に耐性が生じた症例ではほかのシグナル系をターゲットにする方が良いと考えられた。Roscovitineで増殖抑制が認められたが、CDK2阻害によるものではないという結果であったので、タンパク合成阻害は一つの候補となると考えられた。
|