2008 Fiscal Year Annual Research Report
多数の分子複合体からセントロメア自己抗原を選択誘導する刺激応答の解明
Project/Area Number |
20591320
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
室 慶直 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80270990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 一充 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70335032)
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Keywords | 強皮症 / 自己抗原 / 自己抗体 / セントロメア |
Research Abstract |
抗セントロメア抗体は強皮症患者血清中に存在する自己抗体の対応抗原として有名であるが、その産生機序については不明である。従来、患者自己抗体を利用して、cDNAライブラリーをスクリーニングする手法等により代表的なセントロメア自己抗原として3種類の自己抗原CENP-A, -B, -Cが同定されてきた。近年、セントロメア抗原の新たな同定法としてプロテオミクスが導入され、多数の新規セントロメア抗原が同定されるに至った。今年度の研究では細胞周期を通じてセントロメアに局在することが新たに判明したCENP-H, -I, -K, -L, -M, -N,-O, -T, -Uの9種類の蛋白について、大腸菌発現リコンビナント蛋白を精製し、患者抗セントロメア抗体の反応をウエスタンブロットやELISA法により調べた。強皮症をはじめとする多数の自己免疫疾患患者血清や健常人血清について検討した結果、これまで私たちが詳細に検討してきた自己抗原CENP-A, -B, -Cとの反応性に対して、プロテオミクスで発見された上記9種の蛋白については、ごく少数例の反応性しか認められず、反応する血清も抗セントロメア抗体陽性例に限られた。その中で、CENP-Oに非常に強く反応した血清が1例(他にも弱く反応する血清が4例)存在した。この症例は典型的な限局型強皮症を長年罹患、経過観察中に急速に皮膚硬化の範囲が進行して、びまん型強皮症に進展したという非常に珍しい症例であった。上記9種類の、いわゆるセントロメアの"マイナー自己抗原"に対する反応性の違いで、抗セントロメア抗体陽性例のさらなる病型分類や、ある特定の症状との関連付けができる可能性を示唆したといえよう。上記の結果は国際専門誌Journal of Rheumatologyに受諾、出版が予定されている。
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Research Products
(10 results)