2008 Fiscal Year Annual Research Report
Th2プロフィールは皮膚バリア機能を改変する-アトピー性皮膚炎増悪の新仮説-
Project/Area Number |
20591323
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
波多野 豊 Oita University, 医学部, 講師 (80336263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 一元 大分大学, 医学部, 准教授 (00204420)
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Keywords | Th2サイトカイン / 皮膚バリア機能 |
Research Abstract |
1.バリア修復阻害作用のメカニズム テープストリッピングにより角層バリアを破壊し、その後の回復を解析するマウスの系において、Th2サイトカインであるIL-4をマウスに皮内投与するとバリア機能の回復が阻害されるが、その機序を検討し、以下の結果を得た。(1)角層を電子顕微鏡学的に観察し、定量的解析を行ったところ、角層バリア形成に重要な層板顆粒の形成と層板顆粒内容の顆粒層・角層細胞間への分泌の両者が、IL-4投与群では抑制されていた。この結果は、IL-4は、層板顆粒の生成、分泌を抑制することによりバリア回復阻害作用を有することを示している。(2)IL-4投与時に、IL-4受容体からの情報伝達に不可欠な情報伝達分子であるSTAT-6のデコイを投与すると、IL-4のバリア回復阻害作用は認められなかった。この結果は、IL-4のバリア機能阻害作用が、STAT-6系を介したものであることを示している。 2.バリア機能形成・表皮分化に対する影響 マウスにTh2サイトカインであるIL-4を5日間連続で皮内投与し、角層の剥がれ易さを解析することにより、Th2サイトカインのバリア機能形成を検討したところ、IL-4投与により、表皮・角層の主要な接着分子のひとつであるデスモグレイン1の発現低下と、角層の剥がれ易さの亢進を認めた。これらの結果は、IL-4が正常な角層バリアの形成を阻害し得ることを示唆している。Th1サイトカインであるIFNgamma投与群では、このような結果は得られず、角層バリア形成阻害は、Th2サイトカイン特異的な作用と考えられた。
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Research Products
(1 results)