2010 Fiscal Year Annual Research Report
Th2プロフィールは皮膚バリア機能を改変する-アトピー性皮膚炎憎悪の新仮説-
Project/Area Number |
20591323
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
波多野 豊 大分大学, 医学部, 講師 (80336263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 一元 大分大学, 医学部, 准教授 (00204420)
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Keywords | Th2サイトカイン / 皮膚バリア機能 / アトピー性皮膚炎 / コルネオデスモゾーム / デスモグレイン1 / PPARα |
Research Abstract |
1.Th2サイトカインと皮膚バリア機能 マウスにTh2サイトカインであるIL-4を皮内投与すると、表皮・角層の主要な接着分子あるデスモグレイン1(DSG1)の発現が低下し角層が剥がれ易くなった。電子顕微鏡的検討により、角層の接着に必須の構造物であるコルネオデスモゾームの減少と角層数の減少がIL-4投与群で観察された。更に、培養表皮角化細胞(NHK)で検討を行った。カルシウム濃度を上昇させて培養NHKの分化を促進したところ、分化関連分子であるトランスグルタミナーゼ1の発現上昇と共にDSG1の発現も亢進し、これらの発現亢進はIL-4によって抑制された。これらの結果は、Th2サイトカインが、NHKの分化を阻害することでDSG1の発現を抑制して角層を剥がれ易くし、皮膚バリア機能を低下させることを示唆する。 2.アトピー性皮膚炎(AD)におけるTh2サイトカインと皮膚バリア異常との相互作用機構皮膚のバリア構築に重要な役割を果たすperoxisome proliferator activated receptor (PPAR)αの発現が、AD炎様皮膚炎モデルの表皮で低下していた。更に、PPARαの発現がTh2サイトカインや角層バリア破壊によって低下すること、PPARαの発現をsiRNAを用いて低下させた培養NHKではケモカインの発現が増強することを見出した。これらの結果から、ADの病態においては、PPARαの発現低下を介するTh2サイトカインと皮膚バリア機能異常との相互作用機構が存在すると考えられた。
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