2009 Fiscal Year Annual Research Report
悪性黒色腫の進展に伴う宿主免疫抑制の機構と効果的な養子細胞移入療法の研究
Project/Area Number |
20591326
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
村上 孝 Jichi Medical University, 医学部, 准教授 (00326852)
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Keywords | メラノーマ / 免疫抑制 / 養子細胞移入療法 / 未熟骨髄由来細胞 |
Research Abstract |
近年、腫瘍増大に伴う未熟な骨髄細胞集団が宿主免疫に影響することが注目され、それらはMyeloid-Derived Suppressor Cells(MDSCs)と呼ばれている。前年度までの研究において1)腫瘍増大に伴うGr1^+CD11b^+未熟骨髄細胞集団はTh2型免疫反応によって誘導され易いことを明らかにした。このMDSCsの腫瘍局所での増数が腫瘍内血管新生と密接に関連することが報告されている。したがって、細胞遊走を誘導するケモカインに着目して腫瘍局所でのMDSCsの遊走能を試験した。DMC/VCC-1は新規のCXC型ケモカインであり、約50種類のヒトがん細胞株についてDMC/VCC-1のmRNA発現をRT-PCR法でスクリーニングした結果、乳がん細胞株と大腸がん細胞株において高い頻度で発現していることが判った。NIH3T3細胞のDMC/VCC-1過剰発現細胞をマウス皮下に移植した結果、コントロールとしてLacZを発現させた細胞に比べ顕著な造腫瘍性が観察された。また、DMC/VCC-1過剰発現細胞によって形成された腫瘍内部の超音波解析では、LacZ発現細胞由来の腫瘍よりも血流量が豊富であった。同腫瘍体積時における腫瘍内血管の免疫染色ではPECAM-1陽性血管数がDMC/VCC-1発現細胞由来の腫瘍で顕著に増加していた。さらに免疫組織化学的検討を進めた結果、DMC/VCC-1の高発現においてGr1^+CD11b^+細胞の腫瘍内浸潤が多く認められた。これらの結果から、DMC/VCC-1が腫瘍局所におけるMDSCsの走化性因子として働く可能性があることものと考えられた。
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