2010 Fiscal Year Annual Research Report
エクリン汗腺のlabel retaining細胞の同定と汗腺の再生治療の開発
Project/Area Number |
20591343
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
中村 元信 産業医科大学, 医学部, 准教授 (30303837)
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Keywords | 汗腺 / 上皮間葉転換 / 幹細胞 / BrdU / label retaining細胞 / Twist1 / Snail1 |
Research Abstract |
汗腺の再生治療を目指すにあたっては、まず汗腺の幹細胞の局在、有無を検討し、その分化機構を解明することが必要である。汗腺とは別の皮膚付属器である毛包では、幹細胞の局在が1990年トリチウムを長期間保持するlabel retaining cellの同定という手法を用いて明らかにされた。すなわち、新生仔マウスにトリチウムで標識されたチミジンを注射したところ、4週間後にトリチウムを保持している、細胞周期の遅い幹細胞が毛包のバルジ領域に局在していることが証明された。さらに、もうひとつの皮膚付属器である爪の幹細胞を同定するため、我々は、新生仔マウスにBrdUを注射し、4週後爪の凍結切片を抗BrdU抗体で染色した。その結果、label retaining cellはマウスの爪母の爪床に近い領域の基底層にあることが明らかとなった。我々は、さらにマウスの足底のエクリン汗腺のlabel retaining cellの局在部位を免疫組織化学的に検証した。その結果、抗BrdU染色で陽性のlabel retaining cellはエクリン汗腺の分泌部およびその近傍に存在し、表皮内汗管には存在しないことが明らかとなった。さらに人の皮膚をヌードマウスに移植し、label retaining cellの局在の検討をしたところ、人でもlabel retaining cellはエクリン汗腺の分泌部およびその近傍に存在することを明らかにした。今回、われわれは、汗腺の細胞が間葉系細胞に変化するかどうか、すなわち上皮-間葉転換をおこすかどうかをマーカーであるSnail1やTwist1に対する抗体を用いて検討した。全身性強皮症患者の汗腺でこれらの蛋白の発現が観察された。この結果は汗腺細胞が上皮-間葉転換をおこし、線維化の病態に関わっている可能性を示唆すると考えられた。
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