2010 Fiscal Year Annual Research Report
ラミニン由来ペプチドによる角化細胞遊走:機構解明および創傷治癒促進への応用
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20591344
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宇谷 厚志 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10292707)
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Keywords | ラミニン / シンデカン / 創傷治癒 |
Research Abstract |
細胞外マトリックスは組織構築をになうのみならず、細胞への微小環境を形成し組織のホメオスターシスに大きな役割を果たしている。皮膚基底膜の主要構成成分の1つであるラミニン5は皮膚組織維持、角化細胞分化・増殖に関与し、また創傷を受けた際には、その修復に深く関わっている。本研究の目的は皮膚基底膜タンパク質のラミニン5の創傷治癒への関与を分子レベルで解明することである。昨年、ラミニン5由来の合成ペプチドを用い、シンデカン-インテグリンのクロストークを介した角化細胞遊走刺激効果を起こすことを証明した。またC57BLマウス背部、ウサギの耳介内側皮膚に潰瘍を作成し、そこへ合成ラミニン5ペプチドを投与することでペプチドは主に表皮再生を促進することを確認した。このことは局所投与により「表皮再生」を促進させる潰瘍治療薬の開発への足がかりになる成果と考える。今年度は、人皮膚への応用を行うべく、ex vivoによる検討を行った。24-48時間の刺激で、ラミニン5由来の合成ペプチドはex vivoにおいて人皮膚組織にもその角化細胞遊走刺激効果すなわち表皮の延長効果を示した。この効果は、阻害実験の結果からシンデカン-インテグリンを介することが判明し、in vitroで判明した効果はin vivoでも発揮できる可能性を示した。今年度においてその検体数を増やして結果の再現性を確認した。現在褥瘡などにおいて使用しうる被覆材、外用剤には、wound bedに焦点を当てて治癒促進をはかるものがほとんどである。この研究成果によって得られた知見は「表皮再生」を促進させる独自の潰瘍治療薬の開発へ繋がると考える。
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Research Products
(1 results)