2008 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚再生機構の解明-毛包細胞内シグナル伝達機構の解析-
Project/Area Number |
20591345
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
板見 智 Osaka University, 医学系研究科, 寄附講座教授 (30136791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 重樹 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (30324750)
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Keywords | 毛包 / 幹細胞 / 再生 / 男性ホルモン |
Research Abstract |
毛包の成長期開始に関わる内因性の分子を明らかにするために、Leptin欠損マウス(ob/ob)やLeptin receptor欠損マウス(db/db)における毛周期を検討し、 1.db/dbマウスでは第2毛周期への移行が2週間遅れること 2.ob/obマウスにLeptinを皮下投与すると成長期を誘導できること 3.休止期にある正常マウスにLeptinを皮下投与すると成長期を誘導できること 4.培養毛乳頭細胞は低酸素条件下で効率的にLeptinを産生すること 5.Leptinは培養ヒト角化細胞におけるJAK2およびSTAT3(Y705,S727)のリン酸化、ERKのリン酸化を促進させること を見いだした。Leptin受容体はgp130レセプターファミリーに属するが、我々はstat3が成長期の開始に必須であることを明らかにしており、Leptinは内因性の成長期誘導分子として機能していると考えられた。 一方、Leptinは分泌後数十アミノ酸のフラグメントに分解され血中に存在するが、その生理学的な機能は明らかではない。これらのフラグメントの成長期誘導能や角化細胞内STAT3活性化能について検討したところ、22-56のLeptinフラグメントは全長のLeptinと同様に成長期誘導作用を有し、in vitroでも培養ヒト角化細胞におけるJAK2およびSTAT3(Y705,S727)のリン酸化、ERKのリン酸化を促進させた。これらの結果は、Leptinペプチド療法が休止期脱毛症に対する新たな治療法となりうることを強く示唆している。
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