2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591348
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
平川 聡史 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (50419511)
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Keywords | 血管新生 / シグナル伝達 / ectodomain shedding / 転写因子 / 細胞外マトリックス / リンパ管内皮細胞 / 炎症性サイトカイン / ADAM |
Research Abstract |
EGFファミリーは代表的な膜結合型増殖因子群であり、I型膜蛋白質としての性格を持つ。Heparin-binding EGF-like growth factor (HB-EGF)は、膜型メタロプロテアーゼによって切断される。N-terminal fragment (NTF)はtransactivationにより細胞膜表面のEGF受容体に結合し、細胞内シグナルを伝達する。一方、sheddingにより細胞内に生じたHB-EGFのCTFは核内に移行し、リプレッサー(転写因子)と結合する。この結果、細胞定常状態における抑制シグナルは解除され、EGF受容体からの促進シグナルと協調することにより、細胞増殖を誘導する。本研究課題では、リンパ管に発現するI型膜蛋白HB-EGF及びlymphatic vessel endothelial hyaluronan receptor (LYVE)-1のectodomain sheddingを検討し、phorbor estel刺激によりN末フラグメントが細胞外へ遊離することを同定した。さらに、CTFは細胞膜から細胞質へ局在を変え、エンドソーム及び核膜近傍に移行することを見出した。リンパ管内皮細胞におけるI型膜蛋白のsheddingにはMAPキナーゼが主要な経路であること、また膜表面の切断候補はADAM17やADAM10であることが示唆された。さらに、ecdotomain sheddingは、VEGF-Aを始めとする炎症性サイトカインにより誘導されることが明らかとなった。本研究課題は、リンパ管内皮細胞表面で細胞外受容体や増殖因子が切断されることを最初に示すものであり、リンパ管新生の初期プロセスを考える上で極めて興味深いものである。
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Research Products
(4 results)