2010 Fiscal Year Annual Research Report
免疫複合体病における治療ターゲットとしての活性酸素種及びNO,CO,H2Sの解析
Project/Area Number |
20591349
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
清水 和宏 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80170968)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 伸一 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (20215792)
|
Keywords | Arthus reaction / Carbon monoxide / Nitric oxide / Hydrogen sulfide / Immune complex disease |
Research Abstract |
硫化水素(H_2S)は一酸化窒素(NO)、一酸化炭素(CO)についで第3のガス状分子として注目されてきているが、体内での働きはいまだ不明の点が多い。特に炎症においては議論の分かれるところであり相反する報告がなされている。炎症の代表的疾患として免疫複合体病があるが、その動物モデルとして逆アルザス反応がその簡便性と再現性の良さから現在では最も広く用いられている。H_2Sを発生させるNaHSを野生型マウスに腹腔内投与し、逆アルザス反応におけるH_2Sの影響を検討した。H_2Sは逆アルサス反応の病変皮膚において好中球数の低下、炎症反応のマーカーであるTNF-αmRNAの低下、Interferon-γmRNAの低下も同時に確認した。しかしながら抹消血においてはTNF-αmRNAの低下、Interferon-γmRNAの低下は認められるものの、好中球数の低下は認められなかった。 また接着分子の一つであるselectin familyに対する影響をみるためselectin欠損マウス群を用いて同様の実験を行った。野生型マウスで認められたH_2Sによる炎症抑制作用はE-,P-selectin欠損マウスにおいては認められたが、L-selectin欠損マウスでは認められなかった。同様の結果は3種のselectinに対する抗体を用いたblocking studyでも認められた。即ちH_2Sは炎症において抗炎症性に働き、その働きはL-selectinを介して行われる事を明らかにした。実験結果をまとめ現在査読論文に投稿中である。
|