2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591352
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
水川 良子 Kyorin University, 医学部, 助教 (50301479)
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Keywords | IgE / TLR2 / 自然免疫 |
Research Abstract |
我々は平成20年度~22年度の本研究においてIgEの生理的な役割を明らかにするために、p-IgE (physiological IgE:生理的IgE)は自然免疫を調節するか(2) IgEによる自然免疫の抑制はアレルギー反応へのシフトを誘導するか(3) 掻破はアレルギー反応の誘導のtriggerかにつき検討を行っている。平成21年度の本研究では、前年度の本研究で明らかにされた生理的レベルのIgEによる自然免疫抑制の機序を明かにするために、マウス骨髄から採取し作成した肥満細胞を用いた検討に加え、IgEによる抑制は抗原特異的な反応かについての検討を行った。 具体的には、(1) C57BL/6(B6)マウス骨髄由来の肥満細胞を作成し、肥満細胞を欠損するW/Wvマウスの足蹠に移入後、ハプテンを塗布し即時型反応(ITH)を誘導する(この反応はTLR2を介した自然免疫としての反応であることを我々は既に明らかにしている)。この反応がIgEで前処理した肥満細胞を同様に移入することにより、抑制されるか否かにつき検討した。また、前処理するIgEを抗原特異的あるいは非特異的なものを用いることにより、抗原特異的か否かについても検討した. (2) 抗原特異的IgEの検討に関しては、前年度に施行したマウス足蹠へのIgE局注による系を用い、様々なIgEを投与することにより確認した。これらの検討から、生理的レベルのIgEは自然免疫反応を抑制し、その抑制は抗原特異的ではないということが明らかになった。以上の結果は、生理的レベルのIgEは抗原特異的、非特異的に拘わらず、過剰な自然免疫を抑制し生体の恒常性を維持する機能があることが明らかに出来たと考えられ、従来の概念を改変させうるものと思われた。
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