2008 Fiscal Year Annual Research Report
殺菌物質PsoriasinとDermcidinの皮膚の自然免疫に対する役割
Project/Area Number |
20591353
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
ニョンサバ フランソワ Juntendo University, 医学部, 准教授 (60365640)
|
Keywords | ケラチノサイト / Psoriasin / Dermcidin / 殺菌物質 / サイトカイン・ケモカイン / 自然免疫 / 感染防御 |
Research Abstract |
皮膚組織が産生する殺菌物質・ヒトβ-デフェンシンhBDとcathelicidin LL-37以外にPsoriasinやDermcidinなどの殺菌物質を産生することが報告された。これらの殺菌物質が正常皮膚に発現し、さらに創傷、乾癬やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患に関与している。PsoriasinやDermcidinを含めて殺菌物質においては、今までに使用されている抗生物質より抗菌範囲が広く、低濃度で作用を示すことは知られている。しかし、これまでにこれらの殺菌物質が、殺菌作用以外の機能は詳細な検討はなされていない。申請者は、hBDとLL-37が殺菌作用の他に、様々な細胞を活性化し、自然免疫、炎症反応とアレルギー反応に関与していることを見だしており、PsoriasinやDermcidinが同様の作用を有する可能性がある。 今回の結果、Dermcidin由来ペプチドDCD-1LやDCD-1が、G蛋白受容体やMAPキナーゼp38とERKの経路を介して、ケラチノサイトのサイトカインやケモカイン(IL-8, TNF-α, IP-10とMIP-3α)の蛋白産生を誘導した。しかし、これらのペプチドがIL-1β, IL-6, IFN-γ, MCP-1とRANTESに対する作用はなかった。また、DCD-1LやDCD-1がケラチノサイトのMAPキナーゼp38とERKのリン酸化を誘導することがわかった。最後に、DCD-1LやDCD-1がケラチノサイトのNF-kBの活性化を誘導することがわかった。Psoriasinのケラチノサイトに対する作用はまだ検討中。以上のことから、皮膚組織が産生する殺菌物質Dermcidinは体内で単に殺菌物質として働くだけでなく、皮膚由来サイトカインやケモカインの産生を誘導することによって皮膚の感染防御、炎症反応と自然免疫に関与する可能性があると考えられる。
|