2008 Fiscal Year Annual Research Report
メラノサイト及びメラノーマ細胞におけるBMPとKit、Mitfとの相互関係
Project/Area Number |
20591356
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
川上 民裕 St.Marianna University School of Medicine, 医学部, 准教授 (20297659)
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Keywords | 神経冠細胞 / メラノサイト / BMP / 悪性黒色腫 / マウス神経冠培養系 / 血管炎 / アポトーシス / 抗リン脂質抗体 |
Research Abstract |
我々はメラノサイトの発生由来とされるマウス神経冠細胞からNCCmelb4(NCC由来メラノサイト前駆細胞株)、NCCmelan5(NCC由来成熟メラノサイト細胞株)、NCCmelb4M5(NCC由来未熟メラノサイト細胞株)を確立した。BMPは、生体の発生や形態形成、アポトーシスに重要な役割をする。今回の研究で、NCCmelb4M5細胞はBMP4添加により細胞増殖能は抑制を受け、KITは蛋白レベル、mRNAレベルとも誘導された。BMP4によるこれらの作用は、nogginの大量投与で相殺された。chordin, follistatinにはこういった効果はなかった。そこで、より生体に近いprimary cultureを用いて、BMP4添加下での変化をみたところ、Kit陽性細胞が有意に増加した。まとめると、BMP4はそのシグナル伝達系を介して、最も幼若な分化段階のメラノサイトで、KIT発現に関与していることが示唆された。すなわち、BMP4は、KIT依存直前のメラノサイトに重要な因子の可能性がある。一方、NCCmelb4M5のみでRet蛋白が発現していたが、BMP4添加にてその発現が減少した。悪性黒色腫モデルマウスから確立したMel-Ret細胞と比較すると癌メカニズムにもBMPが関連していることが推測された。また、皮膚血管炎と癌との関連がアポトーシスを介して注目されている。アポトーシスには抗リン脂質抗体であるカルジオリピンやホスファチジルセリンも関連しかつ血管炎と癌に絡んでいる結果がでた。これらの結果は、実際の臨床で、メラノサイトによる色素異常症といえる白斑や老人性色素斑、白髪及びメラノサイトの悪性腫瘍である悪性黒色腫、血管炎を中心とした膠原病の病因や進展メカニズムを解明する上でも重要な位置づけになると思われる。
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